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竜から妖精へ………
第5話 拳で語れ
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 躊躇せずに戦う事が出来たのは、あの場所から離れたくない、と言う事、そして 初対面の大人達の印象、それらがあったから、戦う事が出来た。……そして、何よりも、ギルダーツが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導師と知らなかったから。いや、ギルダーツのお陰で、そのギルドの事を感じる事が出来たから、今は感謝しかない。

 だから、ギルダーツとも、今はきっと戦えない。大切な人、だから。

 そんなゼクトの気持ちを大体悟ったギルダーツは、再び一言声をかけた。

「おいおい…深刻に考えるなよ、ゼクト」

 落ち着かせる様に、そう言っていた。

 因みに、勝負を挑んだナツは、対照的に、ちょっと混乱していた。


 ゼクトと戦おうと思ったのは、強いとギルダーツから聞いたからだ。だから、ちょっと、力比べをしたかった、と言うのが本音。勿論、歓迎と言う気持ちも当然ある。同じギルドに入ったら、もう仲間だから。

 なのに、ゼクトはずっと戸惑ってばかりだったから。


 成り行きを見ていたマカロフも、ギルダーツ同様、事情がわかったようだ。

「ゼクト。……まあ、お前さんが、今まで通ってきた道を考えたら、仕方ないとは思うけど、一回頭の中、リフレッシュして、考えてみろ」

 ギルダーツは、頭を掻きながらそう言う。

「え?」

 ゼクトは、まだ表情を曇らせていた。

「はは。そんな、ガチなモンじゃねえって事だ。これは、遊びだよ遊び。そんな感じで良いんだ」

 ギルダーツは、笑ってそう言った。
 だけど、その言葉に納得が出来ないのは、ナツだ。

「なにーーー!!遊びじゃねえぞ??オレは本気だッ!!」

“ボゥーーー!!”っと口から火を出しながら叫ぶ。ナツはいつでも一直線であり、本気だから、遊びと思われて、ちょっと心外だったのだろう。

「はははっ ナツもちっと待てって。……なあ ゼクト」

 今度は、ギルダーツは、ゼクトの目を見た。

「……え?」

 ゼクトは、まだギルダーツが言っている意味がよくわかっていなかった。

「……今までの様な戦いじゃなく何かを守ろうとする為に、負けられない戦いをする! とかじゃなく、ただの純粋な力比べって事だ。オレや、今までの連中と戦った時の様な気持ちじゃなく、な。力比べ、きらいじゃないだろう? ゼクトは、負けず嫌いだからな。……だから、楽しむんだよ」

 ギルダーツはそう言い終えると、更に笑った。

「戦いを…楽しむ…?」

 ゼクトは、思い起こしていた。確かにギルダーツとの一戦。最初と最後を比べたら、楽しかったか? と聞かれれば……少しわくわくしてたのかもしれない。ギルダーツの強さを目の当たりにしたから、そんな強い人と、戦えている、と思ったかもしれなかった
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