第5話 拳で語れ
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
躊躇せずに戦う事が出来たのは、あの場所から離れたくない、と言う事、そして 初対面の大人達の印象、それらがあったから、戦う事が出来た。……そして、何よりも、ギルダーツが妖精の尻尾の魔導師と知らなかったから。いや、ギルダーツのお陰で、そのギルドの事を感じる事が出来たから、今は感謝しかない。
だから、ギルダーツとも、今はきっと戦えない。大切な人、だから。
そんなゼクトの気持ちを大体悟ったギルダーツは、再び一言声をかけた。
「おいおい…深刻に考えるなよ、ゼクト」
落ち着かせる様に、そう言っていた。
因みに、勝負を挑んだナツは、対照的に、ちょっと混乱していた。
ゼクトと戦おうと思ったのは、強いとギルダーツから聞いたからだ。だから、ちょっと、力比べをしたかった、と言うのが本音。勿論、歓迎と言う気持ちも当然ある。同じギルドに入ったら、もう仲間だから。
なのに、ゼクトはずっと戸惑ってばかりだったから。
成り行きを見ていたマカロフも、ギルダーツ同様、事情がわかったようだ。
「ゼクト。……まあ、お前さんが、今まで通ってきた道を考えたら、仕方ないとは思うけど、一回頭の中、リフレッシュして、考えてみろ」
ギルダーツは、頭を掻きながらそう言う。
「え?」
ゼクトは、まだ表情を曇らせていた。
「はは。そんな、ガチなモンじゃねえって事だ。これは、遊びだよ遊び。そんな感じで良いんだ」
ギルダーツは、笑ってそう言った。
だけど、その言葉に納得が出来ないのは、ナツだ。
「なにーーー!!遊びじゃねえぞ??オレは本気だッ!!」
“ボゥーーー!!”っと口から火を出しながら叫ぶ。ナツはいつでも一直線であり、本気だから、遊びと思われて、ちょっと心外だったのだろう。
「はははっ ナツもちっと待てって。……なあ ゼクト」
今度は、ギルダーツは、ゼクトの目を見た。
「……え?」
ゼクトは、まだギルダーツが言っている意味がよくわかっていなかった。
「……今までの様な戦いじゃなく何かを守ろうとする為に、負けられない戦いをする! とかじゃなく、ただの純粋な力比べって事だ。オレや、今までの連中と戦った時の様な気持ちじゃなく、な。力比べ、きらいじゃないだろう? ゼクトは、負けず嫌いだからな。……だから、楽しむんだよ」
ギルダーツはそう言い終えると、更に笑った。
「戦いを…楽しむ…?」
ゼクトは、思い起こしていた。確かにギルダーツとの一戦。最初と最後を比べたら、楽しかったか? と聞かれれば……少しわくわくしてたのかもしれない。ギルダーツの強さを目の当たりにしたから、そんな強い人と、戦えている、と思ったかもしれなかった
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ