第5話 拳で語れ
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「ええっと? しょうが、ない? ……いったい…コレは…?」
ゼクトは、恐る恐る、聞いてみる事にした。良い答えが帰ってくるとは到底思えなかったが、ずっと置いてきぼりの方がもっと怖くなりそうな気がしたから。
「すまんの、ゼクト。ちょっと ナツをもんでやってくれんか? ちょっとでいいんじゃ。それでナツも納得するじゃろ」
これまたマカロフも、ナツと同じ様に、ニカッ…っと良い笑顔で ゼクトに頼んでいた。
「そーだ! いっちょやろーぜ?」
ナツは、今もやる気満々。最初からやる気満々だ。
「…………ええええ!!」
ゼクトは、暫く何を言っているのか、判らなかったのだが 脳内でマカロフやナツのセリフを再生しては巻き戻して、を繰り返し、脳内の辞書を何度も調べて、その意味を改めて理解したと同時に、盛大に叫んでいた。
「え、えと、なんで? しょ、勝負って……」
ゼクトの中で『やる』と言う言葉が意味する事、それらが頭の中に同時に過ぎっていた。
即ち、連想されるのは、『戦る』『闘る』『殺る』である。
「え、えっ、で、でも、……お、オレは……、そんな……」
ゼクトは突然の事からの混乱。そして戸惑いと動揺を隠す事が出来なかった。
「ん?」
そんなゼクトを不思議そうに見ているのはナツだった。。
『オレ、何か変な事言ったか??』
と言うかの様に、首を傾げていた。
ゼクトは、そんなナツを見て、表情を落とした。
「オレ…は、その……、このギルドの……、フェアリー…テイルの人と…敵対なんて……、したく、無いよ……」
ゼクトが感じた事はそこだった。
《勝負》。ナツの感じから、そして、言葉から まず間違いなく戦いの申し入れだろうと言う事は判った。ナツも炎を扱っている所から、魔導師だと言う事は判る。攻撃用魔法だと言う事もだ。
確かに、戦う事は出来る。身体の具合も大丈夫だ。だけど…… ナツは、妖精の尻尾の魔導師なのだ。
理由は判らなくとも、感じられる。心から、大切と思えるギルドの魔導師。そんな人と、戦うなんて、ゼクトにはできなかったんだ。
恨みも無ければ、戦う理由もまるで無い。戦おうなんて、思いたくもなかった。色々な感情が渦巻いて、表情が徐々に曇っていく。ギルドの人と、戦うって事を考えただけで、だった。
そんな時だ。
「おい、ゼクトよ。なーにか、勘違いしてないか?」
ナツの次に、この場所にいつの間にか入ってきた様だ。
「あ……、えと、ギルダーツ……」
ついさっき、いや 厳密には時間はもう少し経っている。
そう、あの場所で戦っていた人だ。
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