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竜から妖精へ………
第5話 拳で語れ
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りのナツの訪問でゼクトは面を食らってしまっていた様だ。

「ははっ! わりーな! じっちゃん! っと、それより……」

 ナツは、マカロフに笑顔で謝った後に くるりと顔の向きをゼクトの方へと変えた。
 そして、これまた満面の笑みと同じく 腕に炎を纏わせながら、元気よく一声。



「お前! オレと勝負しろッ!!!」



 入るなりいきなり勝負を申し込まれたのだ。


 いきなりこんな事を言われるなんて、思ってもいなかった事だから、ゼクトは 再び面を食らったのは言うまでもないだろう。

 ナツの言葉を聞いた マカロフも再びため息を吐いていた。

「え…? え…?? しょ、しょーぶ??」

 突然の宣戦布告に動揺を隠せないのはゼクトだ。動揺、と言うより その勝負と言う意味が、一体どういう意味なのか、まだはっきりしていなかった。だけど、直ぐにその意味を知る事になる。  

「そーだ! ギルダーツから聞いたぞ? お前! すっげー強えーらしーじゃん!! だから、オレと戦えっ!!」

 ナツは、右腕に纏わせた炎を、今度は左腕にも纏わせ、最後には 炎の指を ゼクト目掛けて突きつけた。

 はい、即ち勝負と言うのは 戦い。……ギルダーツと戦った時の様に、このナツと戦いをする、と言う事の様だ。

「はぁ……これこれ。ナツ ちったー落ち着かんかい。入ってくるなり無茶じゃろ、んなもん」

 マカロフは、驚き1割、呆れ8割、怒り(説教)1割、そんな感じの表情でそう言っていた。だけど、それくらいで止まる様なナツではない。

「でもよー じっちゃん! コイツ、新人なんだろ?? だから、オレなりのかんげーってヤツだ! 今日から仲間なんだからな! ちゃんと、かんげーしてやらないといけないだろっ!?」

 ナツはニカッ!っといい笑顔だった。かんげー、とは歓迎と言う意味だろう。だが、戦いと歓迎は、《=》では結ばれないと思うのは 気のせいだろうか?

「え、えと……、あ…あの……。これは、いったい……?」

 正直な所、色々と頭の中で巡っているのだが、流石にこんな対面は、幾ら目覚めて日が浅いとは言え、記憶があったとしても、恐らく初めてだろうと思える。……はっきり言えば、ナツの勢いに、ゼクトはついていけないのだ。

「はぁ〜〜〜〜〜……しょーがないのぉ〜…」

 全くゼクトはついていけてない、と言うのにマカロフは、何故か勝手に納得していた。仕様がない、と言う意味がよく判らない。ナツは ゼクトに対して訴えているのだ。……マカロフにではない。もしも 『仕様がない』と言うセリフを言うとしたら、ゼクトの方だろう。……絶対、言わないと思うけれど。

 つまり、本人の意思そっちのけで、マカロフが了承した、と言う事だ。
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