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神の贖罪
5部分:第五章
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みせた。
「できますが」
「なら。見事な詩を詠んでくれ」
 彼が出した条件はそれであった。
「三人共だ。それでいい」
「三人共ですか」
「そうだ」
 またこのことを言うトゥイスであった。
「それならばいい。どうだ」
「ならば」
 ブリアンは彼の問いに毅然として顔を上げて宣言してみせた。
「その豚の皮を詠いましょう」
「私もです」
「俺も」
 ヨッハルとヨッハルヴァもそれに続いた。二人もまた毅然としたものだった。
「詠いましょう」
「その豚の皮の詩を」
「よし、ならばやってみるのだ」
 王は今彼の話を聞き入れて頷いてみせた。
「その詩を聞こう。いいな」
「よし、ならばだ」
「はい、今より」
 三人は早速詩を詠ってみせた。それは忽ちのうちにトゥイスを沈黙させた。そしてその次に目をうるわせ終わった時には感涙していた。それが彼の感想だった。
「見事」
 一言でそれを述べたのだった。
「豚の皮、是非持って行くのだ」
「わかりました。それでは」
「有り難く」
 こうして三人は豚の皮も手に入れたのだった。三人はトゥイスに別れを告げ船に戻った。そして豚の皮を見ながら車座になってギリシアでのことを言い合うのだった。
「我等が詩を司る神でよかったな」
「全くだ」
 こう言い合いながら皮を見ている。
「文芸と芸術と詩歌ならばな」
「我等に勝てる者はいない」
 彼等はそれ等を司る神だった。だからこれは当然の結果であった。
「あの王はそれを知っていたのか」
「知っても知らなくてもだ」
 ブリアンはその皮を手に弟達に見せながら言う。
「我等は詩の力で手に入れた」
「うむ、そうだ」
「剣の力でなくな」
「これは大きいぞ」
 あらためてこのことを言い合う。
「今度は豚の皮だ。あの王の言葉によればだ」
 ヨッハルヴァが言う。
「うむ」
「触れただけで全ての傷と病が言えることができる」
 このことを話すヨッハルヴァだった。

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