第二百三十三話 本能寺の変その一
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第二百三十三話 本能寺の変
信長はその夜だ、幸村と兼続、蘭丸にだ。
毛利と服部を呼んだ。そして彼等に言った。
「用心はしておるな」
「はい、いつも通り」
「上様の仰tった通りです」
まずは幸村と兼続が答えた。
「備えております」
「ですから何があってもです」
「ご安心下さい」
「今は」
「ならよい、ではな」
信長は二人に述べた。
「今宵はこのまま寝るが」
「はい、都を出るまでは」
「用心が必要ですな」
「おそらく今宵か明日じゃ」
信長の語る目が鋭い。
「来るわ」
「その者達が」
「ここに」
「だからじゃ、来た時はな」
まさにその時はというのだ。
「難を逃れるぞ」
「殿、まずはです」
蘭丸がここで信長に告げた。
「まずはです」
「わしがか」
「はい、お逃げ下さい」
こう言うのだった。
「殿は戦われるお考えもある様ですが」
「弓矢と槍は用意しておる」
信長はこういったものを得意としている、特に弓矢はいつも鍛錬を積んでいるのでかなりの自信がある。
「既にな」
「左様ですか」
「わしも戦う、すぐに逃げてはな」
「それはそれで、ですな」
「相手に怪しまれるからのう」
「逃げたと」
「それに敵があまりにも多いとな」
信長も倒して彼等を減らさねばというのだ。
「後が厄介じゃ」
「我等が逃げる時に」
「そうじゃ、御主達も死ぬな」
それは絶対にというのだ。
「だからな」
「助かる為にですか」
「敵の数は出来るだけ減らしてじゃ」
そうしてというのだ。
「逃げるのじゃ」
「そうされますか」
「その考えじゃ、わしも戦い」
きりのいいところまでというのだ。
「そのうえで去ろう、枕元には具足も用意してある」
「それで持って来させていたのですか」
「帰蝶の分までな」
正室である彼女のそれもというのだ。
「御主達の分もな、ではな」
「はい、夜の間も物見を出しておき」
「そしてじゃ」
「何かあれば」
「その時はな」
まさにというのだ。
「すぐに皆具足を着けて戦じゃ」
「はい、では」
「その用意も」
「さて、出来るだけ逃げるが」
その中でまた言う信長だった。
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