巻ノ二十二 徳川家康という男その四
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「青龍、白虎、朱雀、玄武がな」
「四霊獣ですな」
霧隠は四匹の神獣の名を聞いてすぐに言った。
「あの獣達が都にはしかといる」
「西道がある」
幸村はまずはその地から話した、白虎のいる。
「そして北は山、東は川、南は平野」
「その全てがあるからこそ」
「都は御所がありな」
「そしてですか」
「他の地よりも天下を治めるのによいのじゃ」
そうなっているというのだ、都は。
「とはいっても都は御所の公卿の方々がおられ」
「あの方々がですか」
「おられるからこそ」
「そこに何かありますか」
「公卿の方々の政と武家の政は違う」
幸村はこのこともだ、家臣達に話した。
「平家はそこを見誤ったのであろう」
「平清盛公は」
「あの方は」
「だから都におられてじゃ」
そして、というのだ。
「公卿に完全に入られて武家の心を忘れ」
「敗れ去った」
「そうなりましたか」
「そして頼朝公はわかっておられた」
鎌倉に幕府を置いたこの者はというのだ。
「だからああした政をされてじゃ」
「都ではなく離れたあの地におられた」
「そうでしたか」
「室町幕府もな」
この幕府についてもだ、幸村は話した。
「都にあったが」
「それが、ですか」
「よくなかったのですか」
「あの幕府にとって」
「確かに都は天下を治めるべき地」
このことは確かだとだ、また言った幸村だった。
「間違いなく、だが」
「御所があってですな」
「そして公卿の方々もおられる」
「だからですか」
「その方々の影響も受けてじゃ」
そしてというのだ。
「公卿の方々の世界にも入り、また武家の政も忘れ」
「そうしてすか」
「室町幕府もでしたか」
「平家の様に、ですな」
「武家でなくなっていたのですか」
「武家ではあったが」
しかしというのだ。
「かなり公卿の色が入っておったのは間違いない」
「歴代の公方様は公卿の方々と親しかったですし」
「そのこともあって、ですな」
「しかも都で御所の政にそのまま入った」
やはりだ、平家の様にというのだ。
「そこに入って動けず傍で見てそちらで動いて余計な力を使ってしまい」
「天下自体をですか」
「広く治められなかったと」
「そう仰るのですな」
「そうであった、やはり都にはじゃ」
幸村は結論から述べた。
「武家はあまり入らぬ方がよい」
「ですか、だからですか」
「頼朝公は鎌倉におられ」
「前右府殿も羽柴殿もですな」
「安土や大坂におられるのですな」
「そういうことじゃ」
幸村はこう結論付けた。
「都から離れた方が都をよく見られるし」
「都への政もしやすい」
「そういうことですか」
「下手をすれば木曽義仲殿になってしまう」
その頼朝に討たれた
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