第十二幕その十一
[8]前話
先生はサラを見送ってでした。
そのうえで次の日ふと気がそちらに行ってでした、ダイオウグソクムシさんのところに行ってサラとお話したことをグソクムシさんにもお話しました。
するとグソクムシさんは先生にこうしたことを言いました。
「難しいことだな」
「難しいって?」
「先生、もっとそうしたこともな」
「そうしたこと?」
「ああ、学問とか優しさの他にもな」
そうしたこともというのです。
「身につけたらどうだ」
「どういうことかな」
「先生は本当にいい人だけれどな」
それでもと言うグソクムシさんでした。
「もっとな」
「もっと?」
「世の中のことを勉強するんだな」
こう言うのでした。
「それも学問のうちだと思うからな」
「ううん、僕は世事のことに疎いって言われるけれど」
「独り身の俺にもわかった」
それで、というのです。
「妹さんの言ってることがな」
「君にもなんだ」
「僕達もね」
「というかずっとわかってるから」
「わかってないのは先生だけ」
「先生だけよ」
他の皆も呆れて言うのでした。
「本当にね」
「ずっと言ってるのに」
「それも結構はっきりと」
「それでもなんだよね」
「先生だけが気付かない」
「そうした状況なんだよね」
「参ったことだな」
実にとも言ったグソクムシさんでした。
「先生のそのことについては」
「だからグソクムシさんもね」
「先生に何か言ってくれない?」
「びしっとね」
「幸せのことについて」
「まあな、先生もな」
グソクムシさんは皆に言われてここで先生に言いました。
「自分の幸せのことを真剣に考えるんだな」
「考えてるよ」
「やっぱりこう言うんだな」
グソクムシさんにもお手上げでした、ですが。
先生はいつも通り気付いていません、この人だけはそうでした。
ドリトル先生の水族館 完
2015・9・11
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ