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神の贖罪
3部分:第三章
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第三章

「必ずな。それではだ」
「わかった。行って来るのだ」
「うむ」
 こうして三兄弟は船を漕ぎ出し旅に入った。贖罪の果てしない旅に。
 まず向かったのはシチリアだった。そこの二頭の馬と馬車を手に入れる為に来たのだ。この馬は風の速さで海も陸も進むことができる。しかも死んでも骨を集めれば蘇るのだ。
「さて、この馬についてだが」
「どうするのだ?」
 船上で三人はこれからのことについて相談していた。ヨッハルとヨッハルヴァはブリアンの話を聞いていた。
「正々堂々と王に申し込むぞ」
「シチリアの王にか」
「そうだ」
 はっきりと二人の弟に告げるのだった。
「譲ってくれと申し出てな」
「しかし。できるのか」
「無理だ」
 二人の弟は兄のその話を完全に否定していた。
「あれはシチリア王の宝、絶対に」
「渡しはしないぞ」
「だからだ。やることがあるのだ」
 ここで彼は言うのだ。
「やること?」
「そうだ。競争を申し込む」
 彼が言うのはこれだった。
「馬車との競争をな」
「馬車との」
「この波鎮めでだ」
 船自体を指し示して宣言するように述べた。
「競争をする。それでどうだ」
「ふうむ」
「そうだな」
 長兄の話を聞きヨッハルとヨッハルヴァはそれぞれ考える顔になった。それかたその長兄に顔を向けてその考える顔で言った。
「いいのではないか」
「俺もそう思う」
 二人の意見は賛成であった。
「それなら向こうも文句はあるまい」
「正々堂々だしな」
「よし、ではそれで行くぞ」
 こうして彼等の方針は決まった。そのうえでまたブリアンは言うのだった。
「しかしだ」
「しかし。何だ」
「問題はだ」
 彼は気になっていることに対して答えたのだった。
「相手がそれに乗ってくれるかだな」
「乗ってくれるかか」
「そうだ。どうしても渡さんというのならな」
「その時はどうするかか」
「そうだ」
「その時はそれまでだろう」
 末弟のヨッハルヴァが強い声で言ってきた。
「その時はな」
「どうせよというのだ?」
「剣に訴えるまでだ」
 威勢よく右の拳を振り回しての言葉だった。
「何があっても手に入れる。絶対にな」
「それしかないか」
「その場合は」
「そう思うぞ」
 二人の兄に対してもその考えをはっきりと告げる。
「その場合はな。いいな」
「わかった」
「あくまでその場合はだ」
 二人の兄は彼の言葉に頷いた。彼等はいざという時の覚悟も決めいよいよシチリアに乗り込んだ。王宮まで行くととりあえずはシチリア王ドヴァルは穏健に彼等を出迎えてきた。
「ふむ、あの馬達と馬車をですか」
「如何にも」
「その通りです」
 王宮の王の間でドヴァルに対して話をしていた。ドヴァルは落ち
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