第十二幕その七
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「ですから」
「それが、ですね」
「ダイオウグソクムシの研究への大きな一歩となります」
「そこまでのものですか」
「そう思います、私は」
まさにというのです。
「ですからです」
「とてもですか」
「本当にお疲れ様でした」
こう先生に言うのでした。
「それでなのですが」
「それで?」
「実はとても美味しいステーキハウスを知っていまして」
日笠さんは急に頬を少し赤くさせて先生に言ってきました。
「如何でしょうか」
「ステーキですか」
「はい、これからご一緒に」
「ステーキですか、では」
「行かれますか」
「実は今度妹夫婦が来日しまして」
先生は濁りが全くない笑顔で日笠さんに言うのでした。
「四人で行きますか」
「これからではなく」
「食事は。ティータイムは特にそうですが」
本当に濁ったものが全くない笑顔です。
「皆で食べた方がいいので」
「それで、ですか」
「はい、妹夫婦と四人でどうでしょうか」
「これからではなく」
「実は今夜はもう家に帰るつもりでして」
つまり予定がないというのです。
「家族と一緒に過ごしますので」
「だからですか」
「そうです、今度で宜しいでしょうか」
「はい・・・・・・・」
とても残念そうに応えた日笠さんでした。
「でしたら」
「今度ですね」
「はい、ご一緒に」
こうお話してでした、日笠さんは仕方なく撤退しました。動物の皆はそんな先生を見て今日もやれやれとなりました。
そしてサラとご主人と四人で、です。先生は日笠さんが紹介してくれたステーキハウスに行ってそうしてなのでした。
サラとお家に意気揚々と帰りました、日笠さんをお家まで送ってから。
ご主人はここで、でした。先生に遠慮している仕草で言ってきました。
「少し煙草を楽しんできて宜しいでしょうか」
「あれっ、喫煙されましたか」
「はい、実は」
とても落ち着いた感じのダンディなお顔ですがその目を左に泳がせての返事でした。
「では」
「はい、どうぞ」
「それでは」
ご主人はサラと目で合図をしてでした、そのうえで。
ちゃぶ台がある居間を後にしました、お部屋には先生とサラの他は動物の皆だけとなりました。その状況になってです。
サラは完全に呆れたお顔で、です。先生に言いました。
「駄目なんてものじゃないわ」
「駄目だって?」
「その駄目よりもよ」
「さらになんだ」
「さらに駄目よ」
そうだというのです。
「兄さん、源氏物語の論文書いたわよね」
「非常に素晴らしい作品だね」
「伊勢物語も更科日記もよね」
「和泉式部日記も読んだよ」
「それも日本語の方でもよね」
「原文でもね」
「しかもイギリス文学にも詳しくて」
先生の生まれ故郷である
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