4.『願い』
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そして与えられた部屋は広々としており、とてもじゃないが一人で暮らす部屋とは思えなかった。火をおこして暖をとるらしいレンガ造りの暖炉に、赤い絨毯。一人で使うにはもったいないくらいの大きな机。
しかし一つ、明らかに足りないものがあった。
それはもちろん、ベッドである。
「(あえて見抜かなかったけど、あの子、本気なのか)」
中身は年頃の東としては、ちょっぴり嬉しいような恥ずかしいような、けどなんか違うような、やはり複雑な心持ちであったが、もういいやと意を決し、任務の一つをこなすことにした。
東はポケットからスマートフォンを取り出した。
そしてぽちぽちと何かを入力していき、やがて一息ついて再びポケットにしまった。
何をしていたのか。それはもちろん、報告である。今回送った内容は、博麗神社の重要性と特徴、吸血鬼の存在及び推測される能力と戦闘力を主として色々である。
スマートフォンには現代の科学を超越した様々な細工がされている。空気と摩擦を起こすだけで充電ができるという画期的な充電方法に、妖怪結社のみだが結界を無視してメールのやりとりができる驚異的な送受信能力、いざというときに自分の姿を消すことのできるアプリなどが入っており、もはや意味が分からない。
東が暖炉に火をつけて暖をとっていたとき、ガチャリと無造作に扉が開かれた。
「あなたが、お姉さまの専属枕ねっ!」
「うん……君は?」
レミリアと同じような顔つきだが、性格は全く異なって無邪気に明るく、そして、背中に七色に光る羽が生えている少女。見抜くまでもなくレミリアの妹で同じく吸血鬼であることを悟った東は、現状報告をもう少し後にすればよかったとちょっぴり後悔する。
「フランドール・スカーレットよ!あなたは確か、えぇと、おさらいどぐま?」
「……おさなぎあずま、だよ」
「えへへぇ。……それよりも、東。私と、遊ぼ?」
「っ!?」
東は見抜いた。
フランの能力、『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』を。
なぜ見抜けたのか。それは、フランから放たれた狂気にも近い強力な妖力を感じたからである。
身構えようとしたその時、神速で東の身体に抱き着いてきた。
東は、しまったと思った。
ぐっと唇を噛みしめ、手にしたスマホを起動しようとしたとき。
「ふわぁ、ほんとに抱き心地良い!」
「……」
フランは東に抱き着いて離れなかった。
「(この子、力が強大であるゆえに調節ができていないのか。暴走したらややこしいことになりそうだ)」
フランの髪を撫でると、まるで絹糸のようにやわらかかった。再生能力が高いので、髪がいたんでも修復されるらしい。
「東ぁ、私の枕にもなってくれる?」
「ふぇ!?えぇと……」
「フラン、それは私の枕よ」
ガチャリと入ってきたレミ
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