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神の贖罪
12部分:第十二章
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命令だった。子犬は頷くとそのままミズケーナの足元を攻めだす。ミズケーナはそれに気を取られブリアンへの注意を拡散させた。
「御前達は左右からだ」
「左右からか」
「そうだ。ヨッハルは右だ」
 まずはヨッハルに対して命じた。
「ヨッハルヴァは左だ。いいな」
「わかった」
「それではな」
「左右から攻めてくれ。子犬と共同してな」
 こうも告げる。そうして一気に攻めさせる。だがミズケーナは二人と子犬の攻撃を受けても全く動じていない。互角以上にさえ渡り合っている。
「やはり難しいか」
 龍は彼等の闘いを見て呟く。
「あの巨人に勝つのは」
 彼等はミズケーナに押されていた。しかしここでブリアンが馬車を動かした。何と馬車はここで空を駆ったのだった。天高く舞っている。
「これならばだ。勝てる!」
「よし、兄者!」
「行け!」
 弟達は顔を見上げて長兄の動きを見守っていた。
「今その槍を!」
「巨人に!」
「受けよ!」
 天高く馬車を駆るブリアンは右手の槍を投げる動作に入った。そしてそのまま投げるのだった。
「この槍で。全てが終わる!」
 叫びそれと共に投げた。槍は凄まじい唸り声をあげ一直線に巨人の喉に突き進む。そして槍はそのままに巨人の眉間を貫いた。槍に貫かれた巨人は動きを止めた。それからゆっくりと後ろに崩れ落ち鈍く大きな音を立てて倒れ伏し動かなくなってしまった。
「終わったな」
「うむ」
 ブリアンは馬車に降りた。そして三人で静かに話すのだった。
「これでな。全ては終わった」
「全ての責務がな」
「そうだ。これでだ」
 また三人で言い合う。
「これでな。終わった」
「帰れるのだな」
 ヨッハルヴァが言う。
「これでな」
「そうだ。帰ろう」
 ヨッハルが二人の兄弟に話す。
「トゥアハー=デ=ダナーンにな」
「その前にだ」
 ブリアンがここで弟達に言う。
「やることがある」
「やること!?」
「それは一体」
「何だというのだ?」
 弟達は怪訝な顔で長兄に問うた。

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