11部分:第十一章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第十一章
「串!?」
「それでは」
「そうだ」
ブリアンは右手にあの槍を持っている。両手にそれぞれのものを持ちつつ二人の弟達に対して答えるのだった。
「フィンカーラ島はあった、やはり海の底にな」
「そうだったのか」
「ではその焼き串こそ」
「島の妖精達から貰った」
また言うブリアンだった。
「今な」
「やはり海の中にあったのか」
「まさかと思ったが」
「これで最後の一つだな」
ブリアンは船からあがってから二人の弟達に述べた。
「いよいよな」
「そうだな、その最後は」
「ロッホランだ」
ヨッハルヴァが真剣な顔でその場所を言った。
「ロッホランの丘だが」
「今度ばかりはな」
ヨッハルは険しい顔になっている。その険しい顔での言葉だった。
「どうなるかわからんな」
「兄者、それでもいいのだな」
「覚悟はしてある筈だ」
ブリアンは意を決した顔で弟達に告げた。
「既にな。違うか?」
「いや、その通りだ」
「この旅に出た時からな」
これが二人の返答であった。
「既に覚悟はしていた」
「それではだ」
「うむ、行くか」
「よしっ」
こうして三人はそのまま船で最後の場所に向かった。それはロッホランの丘、果てしなく遠い場所にあるその丘にようやく辿り着いた。するとすぐに不気味な雄叫びが聞こえてきた。
「殺せ!」
「殺せ!」
彼等は口々にこう叫んでいた。
「侵入者を殺せ!」
「誰であろうとも!」
「もう来たか」
ヨッハルは彼等の声を聞きながら呟いた、荒れ果てた荒野に上陸している。
「早いな、やはり」
「それはもうわかっていたことだ」
だがブリアンは驚いてはいなかった。
「もうな。違うか?」
「そうだな」
それに頷いたのはヨッハルヴァだった。
「では。行くか」
「ああ」
三人はあの槍や剣を手にその雄叫びをあげる不気味な者達に向かおうとした。するとここで思わぬ声が不意に聞こえてきた。
「フォウォールか」
「むっ!?」
「ここにもいるとはな」
そこにいたのは龍だった。ヘスペリデスにいたあの百の頭を持つ龍だ。その龍が今ここにいたのである。
「案外色々な場所にいる連中だ」
「どうしてここにいる?」
「しかもだ」
三人は彼等を怪訝な顔で見つつ問うた。そこにいたのは龍だけではなかったのだ。
ヘスペリデスの騎士や乙女達もいたし各国の王とその騎士達もいた。アサルもトゥイスもドヴァルもいた。ペルシア王もいればイローダ王もいた。今まで三人が巡った国の王とその騎士達だった。
「何故貴殿等まで」
「どうしてだ」
「何、気が向いたからだ」
龍が彼等を代表してこう三人に告げた。
「それでだ」
「気が向いただと?」
「思えばあれだけではこちらも気
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ