10部分:第十章
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。もうすぐなのだな」
「そうだ。今度はフィンカーラ島に向かう」
次の行く咲も決まっているのだった。
「だからだ。これでお別れだ」
「そうか。早いな」
「また会おう」
こう言い残して踵を返す三人だった。
「縁があればな」
「うむ。その時はだ」
「その時は?どうしたのだ?」
「宴を開くとしよう」
王は擦れ違う三人に対して述べた。
「その時にな」
「そうか。ではその時まで」
「さらばだ」
こう言い合い三人と王は別れた。三人は今度はフィンカーラ島を探すことにした。しかしここで三人はまたしても困難に向かい合うことになった。
「それでだ、兄者」
「うむ」
ブリアンはヨッハルの言葉に応えていた。三人はまた船の中で車座になって話をしている。
「そのフィンカーラ島は何処にあるのだ?」
「フィンカーラ島がか」
「そうだ」
ヨッハルがいうのはこのことだった。
「あの島は海にも陸にもないというぞ」
「それは聞いている」
「それではだ。どうして次の宝を探すのだ?」
「その通りだ、兄者」
ヨッハルヴァも長兄に問うてきた。
「一体何処にいるのかわからないというのに」
「どうやって探すのだ」
「何処にあるのかどうかわからないのだぞ」
二人は兄に対してこのことをしきりに問う。
「それでどうして探し出すのだ」
「考えがあるのか?」
「陸にも海にもないのだな」
ブリアンが言うのはこのことだった。
「そうだったな」
「そうだ、だからだ」
「何処にあると思っているのだ?わかっているのか?」
「海でも陸でもないのならもう一つの場所だ」
「もう一つだと?」
「そうだ。そこはだ」
彼は明朗な声で二人に述べた。そこに答えがあると確信している声であった。
「海の底だ」
「海の底だというのか」
「そうだ、フィンカーラ島はそこにある」
このことを断言するブリアンだった。
「海の底にな」
「そうか。そこにあるというのか」
「では兄者」
「すぐに行くぞ」
彼は言った。
「すぐにな。しかし海の底には恐ろしい魔物がいる」
「魔物がか」
「そうだ。だからこれを持って行く」
彼はここで槍を取り出した。ペルシア王から貰い受けたその槍をである。槍の穂先が赤く燃え盛っている。魔性の槍であることがわかる。
「この槍の炎は水の中でも消えることがないからな」
「わかった。では兄者」
「ここは任せるぞ」
「うむ。それではな」
彼は二人の弟に対して頷くとすぐに海の中に飛び込んだ。そして暫くして彼はあるものをその左手に掲げて出て来た。それは一本の焼き串であった。
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