二十六話:舞台の終わり
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響き渡る。
だが、リンディは冷静に警戒態勢を維持するように告げ、監視を続けるように言う。
その指示を受けて肩を撫でおろしながらエイミィは地上のなのは達に作戦成功の連絡を送る。
その吉報を受けて喜び合う子供達に、ホッと息をつく大人組。
そんな中、切嗣は一人夢でも見ているかのような表情で降り注ぐ白雪を見つめるのだった。
「奇跡は……結局起きたのか。世界は救われたのか……」
その声には嬉しさというものが感じられなかった。
望んでいた結末のはずだった。かつて夢見た理想のはずだった。
だというのに、喜べない。勿論、世界が救われたという結果にではない。
完膚なきまでに己の今までの行いを否定してしまったからである。
犠牲にしてきた者達にはどのような顔をして詫びればいいのかも分からない。
ただ、世界は救われたという結果だけがそこにあった。
「そう言えば、本当の意味で世界が救われるのを見るのは初めてだな」
衛宮切嗣は世界が救われた瞬間など見たことがなかった。
彼がやってきたことは滅びにつながる全ての可能性を排除することだけだ。
結果的には救われたのかもしれないがその後にどうなったかなど知らない。
思えば、この道を歩いてきて本当に嬉しいと思ったことなどあっただろうか。
いつも、救えなかった人々の存在に嘆いてきた。
口では多くの人を救ったのだと言ってきたが、犠牲の大きさに救ったという人々にすら目を向けることができなかった。
「……あ、あの」
「その……」
「なんだい? 高町……いや、なのはちゃんにフェイトちゃん」
ボンヤリと考え事をしていたところになのはとフェイトに声をかけられ首を傾げる。
はやては少し遠くから見守るだけで何故か近づいてくる気配がない。
不思議だったが、気にするほどの気力も残っていないので思考を放棄する。
「その……私達がやったことははやてちゃんが言ったように無謀でした」
「結果的に全てが救われた。……結果だけが全てだ。今回は君達が正しかった」
「でも、手を貸してくれなかったら危なかったですし」
「だから―――」
なのはとフェイトが交互に反省するかのように語り掛けてくる。
だが、切嗣にとってはそんなことはどうでもよかった。
結果だけが全てだ。碌でもない敗者に憐れみをかけられる方が惨めだ。
いや、ある意味では当然の報いなのだろうと、そう思った時だった。
二人が全く予想だにしていなかった言葉を言ったのだ。
『ありがとうございました』
満面の、打算など何もない嘘偽りのない本物の笑顔と言葉。
対して切嗣は何を言われたのか理解できないといった表情で惚ける。
言葉が理解できなかったわけではない。
何
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