暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
孤独を歌う者 2
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すぎて言葉が出ねぇわ。

「何を、言っている?」
「ですから、お友達になりましょうとお誘いしています。私は、ロザリアの隣に居られれば他はどうでもいいですし、過去の因縁にも興味ありません。ですから、変に争うよりも友好関係を築いて人生を円満に終結させたいなと思っているのですよ。ほら、二つに分けていた魂を一つに戻してもせいぜい一年ちょっと保つくらいじゃないかなあ? って話ですし。人生の最後には笑っていたいじゃないですか。後悔とか、したくないんですよね」

 ……さらっと言うよなー……。

 ベゼドラが大部分を護ってくれてたから良かったけど。
 そうでなかったら、クロスツェルは本当にすぐ死んでた。
 体の時間を進めたら、一分と保たずに心臓が止まってた筈だ。
 それを私がどんな思いで見てたか、少しは考えて……

 ……なかったんだろうなあ……。
 そういうバカだもんな、お前は。

「人間は、基本的に利己的で排他的です。でも、こういう風に好意を示せば解り合える者も多いんですよ。喧嘩をした後は仲直りの握手を交わしたり、寂しい時は肩を寄せ合ってみたりね。力任せではなく、他人任せでもなく。正面から静かに思いのままを打ち明けてみましょう、レゾネクト。怖いなら私が隣に居ます」

 抱えたレゾネクトの頭を、柔らかい笑顔で撫で続けるクロスツェル。
 どうにもよく解らんのだが。
 コイツ、さっきからレゾネクトに何かを伝えようとしてるのか?

「……知った口を」
「利きますよ、いくらでも。それが私達にとって良い方法だと思いますし。なにより、それを最も強く望んでいるのは」
「やかましい!!」
「! クロスツェル!」

 ドン! と。
 乱暴に突き飛ばされたクロスツェルの体が、玉座の肘掛けへよろめく。
 レゾネクトの右手が、クロスツェルの心臓めがけて振り下ろされ。
 爪の先がコートに触れるかどうかの位置で、ピタッと止まる。

「壊したものは簡単には直せません。だからと言って楽をしようとしたら、余計な副作用を起こして望まない結果になりますよ。意識とは向かい合って初めて通じ合うものだと、貴方が一番よく知っている筈です。過去ではなく現在の自分を見つめ直しなさい、『鏡』」

 レゾネクトの腕が、小刻みに震えてる?
 何事かと横に回って覗き見たクロスツェルの目の色が、いつもと違う。
 妙に赤っぽいような、黄色っぽいような。

「……お前、なのか」

 ?

「私は私です。他の誰でもありません」

 レゾネクトの顔が。
 喜びのような怒りのような、悲しみのような苦しんでるような。
 形容が難しい、複雑なものに変わっていく。

「何故、お前までが拒む。もう一度会えるというのに」

 クロスツェルは静かに目蓋を
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