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逆さの砂時計
孤独を歌う者 2
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入らなくなりますよ、レゾネクト」
 「いいや。もう一度アルフリードに会う。そうしなければならない。……数千年を待ったんだ。今、ようやく叶う。邪魔をするな、魔法使い!」
 「ぅわ……っ!」
 レゾネクトの右手が私の右腕を後ろへと乱暴に引っ張って、クロスツェルから引き離そうとする。
 転けそうになるのをなんとか堪えて二人を見れば……
 「…………………………はい?」

 背伸びしたクロスツェルが。
 正面からレゾネクトを抱き締めて。
 頭を……撫でて……る……?

 「……なんのつもりだ、貴様」
 あ。狼狽えてる。声色は刺々しいまま変わってないけど、すっごい狼狽えてるよ。レゾネクト。
 ベゼドラも思いっきりどん引きしてるし、母親も女神もぎょっとしてる。幼女も「え?」って間の抜けた声を出して固まった。
 「記憶を見たそうですから、ご存知だと思いますが。猪の皮を被った犬猫科性動物二名に仕込まれた友好表現ですよ」
 あー……あの強烈な性格の聖職者? 達か。
 友好表現て言うか、嫌がらせにしか見えないんだけど……。
 「友好……?」
 「友達になりたい時はこうすると手っ取り早いのだと、身を以て知りましたので。実践している所です」
 実践しちゃってるのかそうなのか。
 そりゃ、コイツに敵意向けて話を拗らせるよりはマシだけど。
 予想外過ぎて言葉が出ねぇわ。
 「……何を言っている?」
 「ですから、友人になりましょうとお誘いしています。私は彼女が居れば他の事はどうでもいいですし、過去の因縁とかにも興味ありません。ですから、変に争うよりも友好関係を築いて円満に人生を終結させたいなぁーと思っているのですよ。ほら、二つに分けていた魂が一つに戻っても、精々一年ちょっと保つくらいじゃないかなって話ですし。人生の最後には笑っていたいじゃないですか。後悔とか、したくないんですよね」
 ……さらっと言うよなー……。
 ベゼドラが大部分を護ってたから良かったけど、そうでなかったら本当に直ぐ死んでた。
 それを私がどんな思いで見てたか、少しは考えて……なかったんだろうなぁ。
 そういう莫迦だもんな。お前は。
 「人間は基本、利己的で排他的です。でも、こういう風に好意を示せば解り合える者も多いんですよ。喧嘩をした後は仲直りの握手を交わしたり、寂しい時は肩を寄せ合ってみたりね。力任せではなく、他人任せでもなく。正面から静かに思いのままを話してみましょう、レゾネクト。怖いなら私が隣に居ます」
 にこにこと柔らかな笑顔で、抱えたレゾネクトの頭を撫で続けるクロスツェル。
 どうにもよく解らんけど……コイツ、さっきからレゾネクトに何かを伝えようとしてるのか?
 「……知った口を」
 「利きますよ。幾らでも。それが私達全員にとって良い方法だと
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