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逆さの砂時計
孤独を歌う者 2
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ロザリア、クロスツェル」
 レゾネクトに向き直れば、表情を変えないまま、私とクロスツェルをじっと見てる。
 どうしたもんかとクロスツェルに顔を向けると、レゾネクトを見返す金色の目がやんわりとした曲線を作った。
 「生きたいからですよ」
 差し出した左手をそのままに、クロスツェルは答える。
 「何の為に?」
 「止めて! 答えないで、クロスツェル!!」
 幼女の涙声を背に受けて
 「生きたいからです」
 同じ言葉を重ねる。
 「……生きたいから生きているという意味か?」
 「はい。それ以外に理由が必要でしょうか?」
 ……私が知ってるクロスツェルなら、アリア信仰を世界に広めて迷い苦しむ人々を救う為、とか答えそうなものだけど。
 変わったなぁ、コイツ。
 「生きる事に何の意味がある?」
 「意味なんてありませんよ。そんなもの、後付けすれば幾らでも作れるし、貼り替えが利く言い訳でしかない」
 「では何故、生きたいと願う?」
 「死にたくないからです」
 うん。
 変わったな。本当に。
 「……俺も、そうなのか?」
 「どうでしょう? 同じかどうかは何とも言えませんが。とりあえず貴方には、自分の力では得られない、どうしても欲しいものがあるんですよね?」
 「!」
 なんだ? またレゾネクトの表情が変わった。
 驚きと怒りが混じる瞳でクロスツェルを睨む。
 「何故、そう思う?」
 「状況推測です」
 「不愉快だな」
 「すみません」
 爽やかな笑顔が嘘臭い。
 「ですが、それを得たいのなら回りくどい行動なんて必要無いです。寧ろ素直さが重要だと思いますよ?」
 「……おい、クロスツェル。あんまり挑発すんなよ。険悪にしてどうすんだ」
 レゾネクトがどんどん凶悪な顔になってるじゃないか。何か知らんけど止めろよな。力じゃ勝てないんだから。
 「彼の真意に近い場所に触れているのですから、険悪になるのは仕方ありません。でも、これは彼自身の望みでもあるのです。踏み込まないと、いつまで経っても解決しません。多少怖いのは我慢してください」
 「真意? それって…… !」
 アルフリードを呼び戻す云々じゃないのか……って尋こうとしたら、レゾネクトがいきなり消えた。
 空間移動か!
 「ベゼドラ、ロザリアをこの場所に固定してください。早く。」
 「は? んだよ、いきなり」
 ベゼドラの不満そうな声を聞くなり、体がズシッと重くなる。その瞬間、背後に現れたレゾネクトの左腕が私の肩に掛かり、それをクロスツェルの左手が掴んで止めた。
 早い。
 なんだ、今のクロスツェルの動き!?
 レゾネクトもベゼドラも驚いて、変わらず笑ってるクロスツェルを見た。
 「……ロザリアに手を出したら最後。欲しい物は今度こそ永遠に手に
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