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東方乖離譚 ─『The infinity Eden』─
episode4:程度の能力
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、使い道は自然と脳裏に刻み込まれる。
──当然、ヒメノにもそれは訪れたのだった。
□ □ □ □
「──ぶわっ??」
驚異的な速度で傷口が修復されていく。次々と浮かび上がってくる呪を紡いでいく毎に、古代文字のような謎の文字列は傷を縫い合わせていき、その後には跡すら残っていない。ものの数秒で、妖怪に貫かれていたその傷は完治した。
が、問題はそこでは無い。いやまあ呪術なんて欠片も心得の無い私がここまで高度な呪術を使えるという事は、ある意味問題なのだろうが……まあ兎に角そこではない。
問題は──
「……??」
この金に染まった髪と、その間から覗く狐耳。腰から溢れ出ている9本の尾である。
何処からどう見ても藍をイメージしたとしか思えないその体には、同時に膨大な妖力が感じ取られた。
そう、『神通力』ではなく『妖力』である。
複数の属性を持つ……というのならまだ理解できる。しかし今この体には神通力は詰まっていない。否、『神通力だったモノ』しか詰まっていない。
──何が起こった?これが私の能力だとしても、その内容が全く想像出来ない……いや、直ぐに理解した。
「あー……なるほど」
脳裏に突如浮かんだ記憶。自身の過去の記憶ではない。ただ『これまでずっと能力を使いこなしてきた経験』の記憶である。
藍から聞いた情報によると、後天的に完全に固有の能力を手に入れた者は最初、その使い方が何故か完璧に分かるそうだ。恐らくこれがその正体だろう。某サークル風に言えば憑依経験というやつか。それが私には手に取るようにわかる。
──と、悠長に考えている暇は無いようだ。
気付けば辺りを妖怪が囲っていた。先程までの自分なら軽く絶望しきっていた所だろうが、生憎と『憑依』している力の主はそう臆病ではない。
風に吹かれ、黄金色の髪が揺れる。
高まる高揚感。溢れ返る自負は、ヒメノを半ば自動的に立ち上がらせた。
「じゃあ──通るね」
心の中で、小さく印を結ぶ。
──集。
──蒐。
──萃。
──変。
──質。
──焔。
──放出。
「呪詛・炎天下之洛陽」
当然、聞いた事も見た事もない術式だ。だが、使える。今この時、ヒメノの頭の中には膨大な術式が記憶されている。使い方も理解できる。効率の良い妖力の使い方も、より高威力にする為の工夫も、何もかも。
古代文字は指先に収束し、やがて光の灯火へと。
指先に灯ったその光で十字を切り、その呪術は完成する。
────豪ッ!
「ぎぃっ!?」
「ギャァェッ??」
二匹避けた
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