暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
ガールズ・オプス-Cheer!!-
第九十話
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ら焼きそばを「美味しいですよー」と売っていた。あいにく美味くはない。

「……ふふ。ここは……いや、皆といると楽しいね。ありがとう」

「お礼を言われるようなことを俺はしてないよ。あちっ」

 作り終わった焼きそばの束をルクスに渡していると、鉄板から跳ねた油の粒が頬に当たる。反射的に手で覆うものの、特に火傷などはしていないようで――当たり前である。

「大丈夫かい?」

 仮想世界で火傷の心配をしてしまった自分に、ルクスの優しい言葉が突き刺さる。確かに現実と見紛うほどの綺麗な海ではあるが、自分もずいぶんと慣れてしまったらしい――と思いながら、作りきった焼きそばを全てルクスに渡す。

「ああ。そろそろ中間報告と休憩時間だから、それまで売ってきてくれ」

 そろそろ全プレイヤーの累計ポイントが発表される第一中間報告で、ちょうど焼きそばも売り切れそうな頃合いだ。リズとリーファの組み合わせが見えないが、あの二人はあの二人でどこかで売っているだろう。……リズとリーファ、という組み合わせがとてつもない不安感を煽るが。

「了解だ。ところで、リズから『売る時に胸をムギュってするように』って言われてるんだけど」

「無視していい」

「だけど、こうなったのも元々私のせいで……いや、うーん……」

 自分が《天使の指輪》クエストで無茶をしたが為に、リズたちの防具がボロボロになったという引け目。それと単純な羞恥心の狭間で悩みながら、ルクスは焼きそばを売りに海外へ向かっていく。

 ルクスの水着は、いわゆる『パレオ』という腰に巻きつけるものがあり、太ももの辺りまで布が巻き付かれていた。元々リズの選んだ水着には、そのパレオは無かったらしいが、ルクスが絶対にパレオを巻きたいと主張したのだという。

 『似合ってるからいいけど、足出すの恥ずかしがってるのかしら』――とは、自らはスポーティーな水着を選んだリズの弁。普通ならそう思うだろうが、ルクスがこのALOに来た時に俺とリーファだけが見た、ルクスの足についていた『何か』。

 しかしリーファが確かめたところ、もはやそんなものはなく。俺とリーファが揃って気のせいだった、という話で終わるはずだった。

「ラフコフ……」

 ――その足についていた『何か』が、あの笑う棺桶《ラフィン・コフィン》のエンブレムでなかったなら、の話だが……


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