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ポケットモンスター 急がば回れ
30 サント・アンヌ号
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灯台がちら、と見えて無重力になる。

グリーン「いけっ、フーディン!」

取っ掛かりを離して甲板にモンスターボールを投げる。

グリーン「フーディン、サイコキネシス!」

フーディンは超能力でトラックを捕まえようとする。
しかし鉄の塊から波長は感じられない。
わずなか熱を感じるだけで、それではどうすることもできない。
グリーンとイミテは荷台から放り出される。
そちらをフーディンはサイコキネシスでキャッチしてゆっくりと甲板に下ろす。
トラックは床板を抉りながら停止する。
空回りするタイヤに板切れが摩擦する音が次第に低くなっていき、やがて止む。

グリーン「大丈夫か、おっさん!」

エアバッグに顔を埋めながら蚊の鳴くような声で答える。

男「……わしに構わず行くんじゃ」

グリーンはドアをこじ開けようとする。
しかし衝突でできた穴にはまって人1人分の隙間も開かない。

男「……心配するな。わしの魂はゲンガーと共にある」

グリーン「縁起でもねーこと言うなよ」

男「……わしの夢は、クチバにあるわしの土地にビルを建てて、外国船を相手に貿易をすることじゃった……」

そこまで言って男は静かに目を閉じる。

グリーン「一体何が言いたかったんだ……
だがあんたのジャッキー・チェンばりのカースタント、無駄にしないぜ」

イミテ「ありがとうございました、こうようさん……
ほら、ゲンガーも」

イミテはモンスターボールからゲンガーを出す。
グリーン、イミテ、フーディン、そしてゲンガーは一同に手を合わせる。

男「わしはまだ死んどらん! 早くロケット団をぶっ潰しに行かんか!」

グリーン「おう、行ってくるぜ!」

イミテ「行きましょう、ゲンガー。
あなたの主人を取り戻しに……!」
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