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ウイングマン バルーンプラス編
4 避難
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しかし、キュインキュインと音が響いてきた今、美紅にもその音の意味はわかっていた。
このまま恥ずかしがっていては確実に間に合わない。
通行人もいる。こんな場所で1人、取り残されるのは何としても避けたい。
美紅も隠すことをやめ、開き直って、桃子の家に向かってダッシュした。



「森本さん!?」
思わず久美子は叫んでしまった。
マンションの駐車場を調べていたときに、何か怪しい影を追っていた。
その影の正体を確認することはできてはいないが、後ろから声がしたので振り返ってみたところで、裸の桃子の姿を……
見たような気がした。
しかし、目の前には誰もいなかった。
「え?」
狐につままれた気分だ。
桃子の姿は幻というにはリアルだった。しかし、目の前には誰もいない。
だいたいこんなマンションの地下駐車場に中学生が裸でいること自体、非現実的だ。
「そりゃあ、そうよね。こんなところで裸でいるなんて、ありえないわよね、ははは」
久美子は勘違いだったと思うことにした。
「帰って寝よ」
腑に落ちない思いはあったが、とりあえず考えないことにして、駐車場を後にした。



4.
ポドリアルスペースが解除された瞬間、美紅はあと一歩、桃子の家まで届かなかった。
桃子の家の門に入ろうかというところで、時間が動き出した。
ポドリアルスペースは解消されてしまったのだ。
ただ、幸いなことに桃子の家の前を歩いていた男子高校生は、アオイが逆向きにしてくれたことで、家の門は彼らの死角になっていた。
男子たちの後ろを美紅は猛スピードで駆け抜けた。
何かが通り過ぎたと感じて後ろを振り返った頃には、なんとか桃子の家に入ることができた。どうやら気づかれずに済んだようだ。
バタン!
美紅が入るとすぐに桃子はドアを閉めた。その音が辺りに鳴り響いた。


「よかった! 間に合った!」
桃子はそう言うと、美紅の無事の到着を喜んだ。
ダッシュしてきたばかりの美紅は、玄関で立ち止まり肩で息をしていた。
とりあえずピンチを脱することができてホッとしていた。
「一時はどうなるかと思ったわ。美紅ちゃん、ゆっくりしてるんだもん」
アオイからも笑顔がこぼれる。
「別にゆっくりしてたわけじゃないけど、やっぱり恥ずかしくて……」
そう言ってうつむいた。そのタイミングで、改めて自分たちの格好を見ると、ほとんど何も隠しているものはない、全裸と言っても過言ではなかった。
桃子も美紅やアオイを家に迎え入れることに必死で、恰好のことなど気にしてはいなかったが、美紅と似たようなものだった。
アオイの格好は2人とは違っていた。もともとトイレットペーパーが多かった、ということもあるが、やはり地球人とは汗のかき方が違ったようだった。
そのため、それほど破損はなか
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