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ウイングマン バルーンプラス編
4 避難
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ルスペースを発動するには早い。もう少し時間が必要だ。
こうなったら自分のパワー回復が早いか久美子がやってくるのが早いのか競争だ。
「桃子ちゃんの家って、ここからどれくらい?」
アオイは自分のパワー回復をどのレベルまで求めるかを考え直していた。
「歩いたら10分はかかるけど、急げば6〜7分くらいです」
それなら、満タンにまで回復する必要はない。
「それならなんとかなると思うから」
アオイの言葉に美紅と桃子は少しホッとした。
しかし、息をひそめてじっとしておくのはなかなか大変だった。




2.
今までよりもさらに時間の流れるのが遅く感じる。
アオイはパワー回復に集中していたが、桃子と美紅は久美子の動きに集中していた。
久美子はキョロキョロしながら、しかし、念入りに駐車場を、結構丁寧に見て回っていた。
「久美子ちゃんって、暇なの?」
その行動に思わず桃子はこぼしてしまった。
取材だったら徹底的にするのも当然かもしれないが、はやくどこかに行ってもらわねば困るという事情もあった。
それに、そもそも中学3年生の女の子がこんな人気のない地下駐車場を物色している姿は、異常に思えた。
「あれで本当に特ダネを探しているのかしら……」
美紅も呆れていた。

「う〜ん、なんだろ、何か感じるんだけどなあ〜」
久美子は駐車場の柱の影をのぞいて、独り言を言った。
夕方だ。買い物に出てくる人がいてもおかしくはなかった。ただ、新築マンションで、まだ入居者も少なかったお蔭で、この時間に駐車場に出てくる人はいなかった。
柱の裏には、当然、誰もいない。
そのことは当然なのだが、感覚的には納得ができていなかった。
気配、ではなくて誰かに見られている、という感覚だった。
その感覚が気になって後ろを見てみたがやはり誰もいない。
「う〜ん、やっぱ誰もいないなあ〜。まあ、こんな場所に誰かいるなんてこともないかあ〜」
そう言うと諦めたようにエレベーターのエントランスに向かった。

「あたりまえでしょ、こんなところに誰かいるわけないじゃん!」
隠れて久美子の行動を伺っていた桃子は、コンクリートに反響して微かに聞こえてくる久美子の独り言に心の中で突っ込んだ。
ただ、エントランスに向かうという久美子の行動は少し、桃子と美紅の気持ちをホッとさせた。とにかく駐車場から出ていこうとしているように思えたのだ。

しかし、久美子はエントランスの前に来ると立ち止まった。
「どうしたのかしら?」
美紅たちはその行動を不思議に思ったが、すぐに状況が理解できた。
入れないのだ。
久美子はマンションに入るために鍵も持っていないし、暗証番号もしらないはずだ。
ここの住人に知合いもいないのだろう。
それなら、入れないのは当然だった。
「あれ〜? 
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