第3話 ギルドの名前
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まった。それは、考えていった言葉じゃない。負けず嫌いな所もあるんだ、と今自分自身でも知った瞬間だった。
「ははっ、だろ? すべからず、男ってのはそう言うもんだ。お前は強い。きっと、これからもどんどん強くなる。……だが、オレも お前には負けたくねえ。それには歳とか関係ないからな」
「ッ!! も、もう…… ほんとによく笑う人だ……」
少年の顔にも、薄らとだが、また 笑みが溢れ出ていた。
「はははっ! 笑いてえ時に笑わねえと損なんだぜ? 人生はよ。っと、そうだ… お前さんは名はあんのか? ここに拘る理由はわからねえっていってたけど、自分の名前は?」
今更だった、と思いつつも名前が無いと色々と不憫だった為、ギルダーツはそう聞いた。
「オレの名……ん……」
少年は…思い出すように考え出していた。
名前を名乗る事、それは普通の事だが、これまで無かった事なのだろう。
「ゼ……ゼ……」
少年は、思い出しながら、口に出そうとする
「お?」
ギルダーツは出てきそうで出てこない感じを楽しんでいる様に口元を歪ませていた。
「《ゼ…ク…ト……》 名は、《ゼクト》、だと思う……」
「ゼクトってんだな? よぉしわかった。オレの名は《ギルダーツ》ってんだ。よろしくな? ゼクト」
ギルダーツは そう言って、笑顔で手を差し出した。
「え……? えと……、う…うん」
ゼクトは戸惑いながらも、ギルダーツの手を取ろうとした時だった。
この渓谷に一陣の風が舞った。決して強い風ではない。ギルダーツとゼクトが戦っていた時の暴風に比べたら、微々たるもの、そよ風だ。
風が吹き、ギルダーツ身に付けていたマントが捲れて靡いたのだ。
「え……?」
そして、それは一瞬の事だった。
一瞬だけ、見えた。……ギルダーツの体に刻まれていた紋章を。
それを見たと同時に、ゼクトの身体が固まった。
「ん? どうしたんだ?」
突然、表情が固まったゼクトを見て、ギルダーツは不思議そうに聞いた。先ほどまでの戸惑いとはまた違ったから。
「そ……、それ………は……?」
ゼクトは、また風にマントが靡き、再び現わになっているギルダーツの胸の部分についている紋章を指差した。
「ん? ああ……これか? これは、オレが所属しているギルドの紋章でな? ただの通りすがりじゃないんだ。オレ。……ギルドに所属している魔道士だからな。……って、そう言うのは判るか?」
自分の全てが判らない。名前の全てが判らないと言っていたのだ。だからこそ、そう訊き直したギルダーツだった。
だが、ゼクトはその問いには答えない。
「そ…その……、ぎるど
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