第3話 ギルドの名前
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それに、先ほどもそれなりには 本気でやったんだ。並みの術者ならば……、あの衝撃を受けたら起き上がるどころか意識すらないだろう。
いや、違う。ギルダーツの拳を受ければ、空高くに飛んでいく事だろう。文字通り。それも空高く彼方へ。
そんな一撃を防いでいるんだ。それも年端もいかない子供がだ。
「ほら、大丈夫か?」
ギルダーツは、まだ膝を落としている少年の背中を摩っていた。
「……全部、アンタがやったのに……、次は 介抱? わからない大人だな」
少年は、少し落ち着いたのか 荒くなっていた息も整え、スムーズに話せるようにはなっていた。それを訊いたギルダーツは大分安心した様だ。
「まぁ…そりゃあそうか。いやぁよ? あんな場面だったら……やるだろ? 普通。あんな状況になったんだからよ? 男だったら」
冷静に考えつつ、おかしいと思いつつも そう返していた。
ただただ、少年は胡散臭いものを見る様な視線をギルダーツに向けた。
「もう、知らないよ……そんなの」
少年は僅かだが、笑えていた様だ。
「んで? さっきの質問は答えてくれるのか? まあ…無理にはきかねぇよ」
ギルダーツは改めて質問をしようとしたんだが、まだ無理をさせる訳にも、と考えた様で、無理にきかない、とも付け加えていた。
そんなギルダーツの言葉を訊いた少年は俯いた。
「………んだ」
小さな声で、絞り出す様に言うが ギルダーツには届かない。
「ん?」
ギルダーツは、聞こえなかった為、ギルダーツは少し傍によった。
「わから…ないんだ。オレ…なんでここにいるのか。なんで…この場所が大切なのか……。自分の全てが……自分の全部……、何も……」
「え……?」
ギルダーツは思いもしない返答に言葉を失った。
何か理由があるという事は判っていたが、まさか 何もわからないとは思ってもいなかったのだ。
「ただ……わかるのは この場所がとても大切な……大切な場所だって事……オレ…気がついたらこの場所にいたから……なのかもしれないけど……」
少年はその後も続けた。
数年の間、この場所でサバイバルをしていたらしい。
何故戦えるのか? と言う話も 厳密には判らないと言う事だった。実戦については、体が覚えていたこともあった。
そして、生きてく為に、小動物を狩ったり、傍に流れる小川で水を飲んで、魚も獲っていたと言う事だった。
自然に育まれた力、と言えば聞こえは良いだろうが、それだけで、ギルダーツとやりあえるだけの強さを得るのは有り得ないだろう。
「アンタが……さっき、オレに『寂しくないか?』 っていったけど、そう言うのは 無いよってまでは言わない
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