第3話 ギルドの名前
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それは、どこかで頭のどこかでは、きっと 判っていたんだ。
だからこそ、その時が、来たのだろう、と思っていた。
だから、もう捕まってしまう。或いは殺されてしまうと思っていたのだ。だけど、目の前の男は『判った』と言ったんだ。そして、『良い』とも。
「オレとここまで戦り合う奴なんて……、オレ自身も初めての事だったんだぜ? 最近じゃ特によ。 それにお前の意思の強さも十分見せてもらったよ」
そう言って、ギルダーツは更に笑顔を見せていた。
ギルダーツがこの場所に着た理由。
当然、本来の彼の目的は 《少年の保護》であった為、有無を言わさず、さっさとこの少年の保護するつもりだった。
だが、戦ってみて、直に拳を触れ合って、この少年の意思の強さを。そして想い高さも。全て見て、体感した。全力でぶつかり合う事は、何よりも勝るコミュニケーションなのだから。
恐らくは、少年の強い想いが、その強すぎると言っていい想いが そのまま力となっているのだろう。
《魔法》と言うのは、本来そう言うものだ。
術者の強い思いが、奇跡を生む。その奇跡が魔法なのだ。
「オレは、強引につれてく様な真似は、もうしねぇよ。最初は連れて帰るつもり満々だったんだがな。 ……だけどよ? お前さん寂しくねえのか?」
ギルダーツは少年に向かってそう聞いた。たった1人でこの場所に留まり続ける事にそう思えたのだ
「お…オレ…そんな…こと…。」
少年は まだ息が上がっていた。
先ほどの衝突で魔力も霧散してしまった為、消耗も生半可ではないのだろう。
だから、まだ整える事が出来ずにいたのは仕方がない。
「ははは…そうか? でもよ……お前さん、最初に会った時、そんな目をしてたんだぜ? オレも結構長い事 いろんな仕事をしてきたからな……、多少なら目利きが効くんだ。眼を見たら、大体判るんだよ」
ギルダーツは更にそう言って笑った。
「……1つ、教えてくれないか? お前さんがこの場所に拘るのは何故だ? そんなにここに思い入れがあるのか……? 別にこの場所はただの渓谷で 何かある、って訳でもない筈……なんだがな」
この場所にいる理由。
それが判らないのは最初からだった。依頼書にも明確には書かれてない為、聞き出せてもいないのだろう。
「…………………」
少年は、ギルダーツの質問に、何も言わなかった。
いや、違う言おうと思って、息を整えているようだ。
「って…わりーわりー。 随分と無茶させた見てぇだ。大丈夫か?」
ギルダーツは現状を見てそう謝った。
まだ ふらつく子供相手に更に質問を投げかけるのは 大人気ないだろう。
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