第3章 リーザス陥落
第74話 ホッホ峡の決戦V
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前回の戦いの後も、まだまだ 色々とあったのだが……とりあえず、ユーリも落ち着いた様子だ。
「……こちら側は もう問題ないな。数の利は向こう側だが、地の利は確実にこっちにある。その数を全く活かせない地形なのも幸いだな」
ユーリは 極めてクールに振舞っているが、もういい加減に長い付き合い、とも言える志津香には 一目瞭然。勿論、マリアも重々承知。と言うか ユーリを知っている人物であれば 大体判ると言うものだ。
「はぁ。こんな時くらい忘れなさいよ」
「あはは……、し、志津香ストレート過ぎ……」
「………」
志津香の辛辣とも言えるコメント。
真面目にユーリはいってると言うのに、帰ってきた言葉を訊いて、ぷいっ! と顔を背けた。
本当に、ギャップが合って可愛いと思われても仕方がない。先ほどまでの鬼神っぷりが嘘のようだから。……皆を鼓舞した時の姿とも。でも、そこが良い。人は完全無欠じゃないから。……何か、あった方が人間味があると言うものだ。……それが愛らしい言えるものであれば更に良い。人気の秘密だったりする。
「はいはい。ヘソ曲げないの。まだ 終わってないんだからね。チューリップ3号も進撃するんだし、ボディガード宜しくね」
「……なんで兵器のボディガードをするんだ?」
「ま、ゆぅも 兵器みたいなもんじゃない? さっきのあの使徒の女と戦ってた時なんてさ? 盛大に吹っ飛ばしてたし」
「……悪いが、志津香には言われたくないぞ。規模を考えたら、ぜーったい 志津香の方がえげつない。攻撃の種類も多彩だし」
魔法使いの真骨頂は、最大火力の強さだ。魔法詠唱に時間がかかったとしても、高威力であれば お釣りが来ると言うモノだ。
「……一言多い気がするけど、私も負けるつもり、無いからね」
「オレも負けないさ」
いつもなら、志津香の魔力充填キックが飛びそうな会話のやり取りだったが、一山を超えた事に安堵していた為、ただ仄やかに笑っていた。色々と複雑だったユーリもこの時は同様だった。
「ふふ。っとと、香澄。 チューリップ3号の方は大丈夫?」
マリアは、志津香とユーリを微笑ましそうに見ていたんだが、その後はチューリップ3号の確認をしていた。戦局の鍵を握る兵器と自負している。実際にそうなのだから、見れる時に気にかけておかなければならない。
「はい。問題ないです。……マリアさんの言うとおり、後方の敵に全て集中する事が出来ました。接近も殆どされてない為、機体損傷も殆どゼロ。燃料・残弾も十分過ぎます。ホッホ峡の範囲を考慮しても、今戦いは問題ないかと」
「そう。良かった」
マリアは、ほっと一息つくと、チューリップ3号の装甲をそっと右手で撫でおろした。まるで、我が子を愛でる様な慈愛の表情。
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