暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第74話 ホッホ峡の決戦V
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いそれとするものじゃない。連中の実力は、人間など問題にならない程強いのだから。必ず裏に何かがある。

 これまで戦ってきたヘルマンの部隊の大部分は まるで気づいておらず、己らの力だけでリーザスを落とした、と錯覚をさせているのだ。

「あらよっと!!」

 ミリは、すれ違うような形で、剣を膝裏目掛けて突き刺した。

「がはっ!! は、はやっ……!!」

 そして、倒れ込んだ小隊長の首筋に、すかさず左の小剣を引き抜き、首元につきつけた。

「へ。こちとら はええ連中が揃ってるんでな。そいつらの中で戦ってりゃ、こんなもん、止まって見えるってもんだ」
「ぐ、くぐぐ……、こ、これまで……っ!?」

 ばちゃっ、と言う音と共に、鉄錆の臭いのする液体が、小隊長を濡らした。
 だが、それは小隊長のものじゃない。

「ぐ……、が、がはっ……がっ……!!」

 もがき、表情を歪め、そして血を滴らせていたのは、外傷一つ無いミリだったのだ。

「っっ!! 今だ!!!」

 首筋を切られても尚、絶命する程の血を失っていないのは、ヘルマン兵だから。その巨体は、耐久度も常人よりも上なのだ。即死の攻撃をしない限り、致命傷となり得る血の量が抜けない限り、動き続ける。
 咄嗟に身体を回転させてはね起こすと、剣を拾ってミリの首筋を狙って渾身の力で振り上げる。

「――――ミリさん!!!」
 
 それにいち早く気づいたセルが、手にしたアンクで懸命に剣を弾いた。だが、怪我をしているとは言え、重いヘルマンの剣?。受け止める様な事は出来る筈もない。

「ちっ……!! このまま、いっしょに潰してやる!!!」

 全体重をセルのアンクにかけ、セル諸共、ミリを斬ろうとした時だ。

「ダ・ゲイル!」
「んだ」

 誰かの声が聞こえたかと思えば、そのヘルマンの巨体が突然宙に浮いた。

「なっ、なんだ!!?」
「私の飲み友と同僚にナニしてくれてんのよ」

 突然現れたのは、異形な姿の者、とそれに抱えられた金髪でローブの下は下着しか身に付けていない露出女。勿論ロゼだ。

「あ、悪……魔?」
「とっとと、失せるべ」

 ダ・ゲイルは 力任せに、ヘルマン兵を引っこ抜く様に頭を引っ張るとそのまま、崖目掛けて放り投げた。 頭から突っ込んでいき、轟音と共に壁に激突し動かなくなったのだった。

「ふぃ――………」

 口元を染める鮮やかな血を手で拭うミリ。
 ため息を1つついた後に、2人 いや 3人に向かって声をかけた。

「サンキュ。セル、ロゼ、えと……ダ、げいる、か。助かったぜ」

 吐血したと言うのに、その声色は爽やかだった。微塵も先ほどの状態をみせなかった。

「無茶すんじゃないの。ミリの手足のよーに動く
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