第3章 リーザス陥落
第74話 ホッホ峡の決戦V
[11/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いそれとするものじゃない。連中の実力は、人間など問題にならない程強いのだから。必ず裏に何かがある。
これまで戦ってきたヘルマンの部隊の大部分は まるで気づいておらず、己らの力だけでリーザスを落とした、と錯覚をさせているのだ。
「あらよっと!!」
ミリは、すれ違うような形で、剣を膝裏目掛けて突き刺した。
「がはっ!! は、はやっ……!!」
そして、倒れ込んだ小隊長の首筋に、すかさず左の小剣を引き抜き、首元につきつけた。
「へ。こちとら はええ連中が揃ってるんでな。そいつらの中で戦ってりゃ、こんなもん、止まって見えるってもんだ」
「ぐ、くぐぐ……、こ、これまで……っ!?」
ばちゃっ、と言う音と共に、鉄錆の臭いのする液体が、小隊長を濡らした。
だが、それは小隊長のものじゃない。
「ぐ……、が、がはっ……がっ……!!」
もがき、表情を歪め、そして血を滴らせていたのは、外傷一つ無いミリだったのだ。
「っっ!! 今だ!!!」
首筋を切られても尚、絶命する程の血を失っていないのは、ヘルマン兵だから。その巨体は、耐久度も常人よりも上なのだ。即死の攻撃をしない限り、致命傷となり得る血の量が抜けない限り、動き続ける。
咄嗟に身体を回転させてはね起こすと、剣を拾ってミリの首筋を狙って渾身の力で振り上げる。
「――――ミリさん!!!」
それにいち早く気づいたセルが、手にしたアンクで懸命に剣を弾いた。だが、怪我をしているとは言え、重いヘルマンの剣?。受け止める様な事は出来る筈もない。
「ちっ……!! このまま、いっしょに潰してやる!!!」
全体重をセルのアンクにかけ、セル諸共、ミリを斬ろうとした時だ。
「ダ・ゲイル!」
「んだ」
誰かの声が聞こえたかと思えば、そのヘルマンの巨体が突然宙に浮いた。
「なっ、なんだ!!?」
「私の飲み友と同僚にナニしてくれてんのよ」
突然現れたのは、異形な姿の者、とそれに抱えられた金髪でローブの下は下着しか身に付けていない露出女。勿論ロゼだ。
「あ、悪……魔?」
「とっとと、失せるべ」
ダ・ゲイルは 力任せに、ヘルマン兵を引っこ抜く様に頭を引っ張るとそのまま、崖目掛けて放り投げた。 頭から突っ込んでいき、轟音と共に壁に激突し動かなくなったのだった。
「ふぃ――………」
口元を染める鮮やかな血を手で拭うミリ。
ため息を1つついた後に、2人 いや 3人に向かって声をかけた。
「サンキュ。セル、ロゼ、えと……ダ、げいる、か。助かったぜ」
吐血したと言うのに、その声色は爽やかだった。微塵も先ほどの状態をみせなかった。
「無茶すんじゃないの。ミリの手足のよーに動く
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ