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ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第74話 ホッホ峡の決戦V
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勿論それは 比喩ではなく、マリアが機械類に抱く感情は一線を超えている? とも言えるのである。

 決して敵数が少ない訳じゃない。地の利がるとは言え、敵数は圧倒的に向こう側に利がある。……のにも関わらず 全く寄せ付けない戦い振りは 本当に感服だ。

「カスタムの時。……チューリップ3号が出来る前、ヘルマン兵を迎撃出来たのも 本当に頷けます……。その上、ランスさんもいらっしゃいましたしね」

 香澄は、ユーリの背中を見て、そう呟いていた。
 絶体絶命のあの4回目のカスタム防衛戦。……窮地を凌いだのは2人の男のお陰だった。

 1人は、当然ユーリ。……そして、敵本拠地を一気に叩いたランス。

 対極に位置すると言っていい性質の2人が、噛み合えば 本当に何でも出来てしまいそうだと思えた。

「ま、そうよね。ラギシスの時だって ランスやユーリさんがいなかったら、無理だったんだし。今回だってそう」

 マリアも頷く。
 そして、チラリとランスがいるであろう高台に目を向けた。

「どーせ、色々とモンクは言いつつも、監視してるんでしょーけど」
「ふふ。マリアさん。ランスさんに更に気に入られる様に頑張らないと、ですね?」
「ちょっ……! なんで、私があんなすけべなんかにっ……!!」

 他人には良いが自分自身には弱い。 それがマリアである。
 今まで、どんだけ頬を抓られても、志津香を散々弄っているんだけど、いざ、それが自分に向けられたら、こんなにも脆い事はないのである。


「……御見逸れいたしました、ね。私も 十分過ぎるほど 理解していた筈なんですが」
「同感です。あの強さで一介の冒険者。これも何度考えた事か……。バレス総大将やエクス将軍たち でなくとも 欲しますよ。彼を……」

 共に戦ってきた兵士たちも 心底そう思っている様だ。

 それは、地位が確実に絡んでくる話になる。

 全将軍がその力を認めて、そして 欲している程の相手だ。飛びに飛んだ地位を得るだろう。……そして、組織である以上、一枚岩ではない。嫉妬心の類も必ず出てきて、揺れる事もあるだろう。だが、戦いを共にしている者達は そう言う類のモノは見せない。リーザスを取り戻す事ができて、平和が生まれれば 判らない事、だ。……少なくとも 現時点では。

 だが、少なくとも今呟いた2人の男、ドッヂとサカナクは ユーリの事を尊敬する眼差しで見ていた。容姿は確かに思うところがあるものの、それに補って余りある強さを持っているのだから。

























 解放軍最後尾の高台にて。

「ぶえーーっくしゅんっっ!!」

 盛大にくしゃみをしていたのは、当然ながらランスだ。
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