継承編 決起
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教えてくれる……過去を背負い、今を生き、明日を信じる。そうやって我らは未来を形作っていくのだ。そのためにも……我らの作る家としての意味も込めて、報酬でもらったマウクランの土地に新しく“マザーベース”を構築する。我らが自分の足で立つために、教主殿から教わった新しい秩序をそこで育てていく。管理局の支配下にあることが天国だというならば、そんな天国はいらない。我らが作るのは天国の外にある世界、即ち“アウターヘブン”だ!
「となると、まずは人を集めなくてはな。人がいなくては何も始まらんし……確かワームホールが開くフルトン回収装置があったはずだから、それを改良すれば……いや、今後の事を考えるのはもう少し後にしよう。まだ我らも仲間を守れなかった過ちを引きずっておるしな……」
そう言うとシュテルもレヴィも一様に暗い顔を見せる。一応我らは教主殿の消滅を事前に心構えていたものの、最後にシャロンを守れなかったショックが色濃く残っている。故にもう少しだけ、心を整理する時間が必要だ。特にマキナにはな……。
元々人の良い性格をしている小鴉は、時間をかければ守護騎士や友人どもの助力で十分立ち直れるとは思う。しかしマキナは人間不信の影響で、我らしか信じられる者がいない。故に我らが傍におらねば、彼女の心が歪んでしまう恐れがある。あの娘も我の臣下だ、彼女を孤独には絶対にしない。我らはシャロンを守れなかったのだから、今度こそ誓いを違える事はしない。それが王たる我の役目……これまで教主殿が背負ってきた役目だ。
聖王教会から見て地上本部の影になる位置に停留していたラプラスの下へ戻る我らだが、二つの内の一つの用事が済んでもう一つの用事を果たそうとした矢先に、ラプラスの傍で見覚えのある者達が待ち構えていた。紫色の髪の白衣を着てニヤニヤしている胡散臭い男、紫のショートカットで青タイツを着た女性と、同じく青タイツを着ている銀髪で体格が小柄な女性、またしても青タイツの茶髪で伊達眼鏡をかけて見下ろすような目つきの女性の、総勢4人が待っていたのだ。
「一人新顔がいるが……貴様達の顔は覚えているぞ。トーレ、チンク、そして……ジェイル・スカリエッティ」
「ん? 我々はおまえ達と直接会った事は無いはずだが?」
「私の推測だが、彼女達は彼の眼を通して私達を見たんじゃないか? まだ彼の中に宿っていた頃にな」
「想い人の身体に宿っていたとは、愛されてますねぇ、ホント。あ、私はクアットロと申します、以後お見知りおきを」
「ん〜、それでキミ達ってなんでここに来たの? 確かお兄さんとは敵同士だったはずでしょ?」
「まぁ実際その通りではあるが、私は個人的に彼に対して尊敬の念を覚えているのだよ。彼はこの私が見込んだ通り、素晴らしい男だった。短い寿命の中で人間がどれだけの事を成せる
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