継承編 決起
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〜〜Side of ネロ〜〜
今回の件はあまりの被害と損害の規模で事件の範疇に収まらない事から、後に“ファーヴニル事変”と総称される事になるそうな。それでその戦いが終わった翌日……応急処置の修理が終わったラジエルに乗せてもらい、私はミッドチルダへ渡航した。というのも実は私も言語を奪われて先日まで“退行”してしまっていて……言語が帰って来てようやく自我がはっきりしたんだ。そして到着後、昨日の激戦の最後に何が起きたのかを、皆が病院送りになっていたり事後処理で忙しい中、唯一手が空いていたユーノから詳しく教えてもらった。
ミッドチルダで繰り広げられた決戦で、奪われた言語を全て取り戻し、ファーヴニルをミッドチルダの大地に封印して、元凶のラタトスクをついに浄化した。反撃を受けて氷に閉じ込められていた者達もファーヴニルが封印された事で氷が溶けて解放され、誰一人としてアンデッド化せずに済んだ。世間的にはこの情報だけが知られて歓喜の声があちこちから湧き上がっているが……真実を知る者はこれが完全勝利とは言えない事を理解していた。
破壊光線を受けて多くの局員達が犠牲になった事を忘れてはいないが……戦闘が終わった後、兄様は全ての力を使い果たして寿命を迎えて消滅、シャロンは異次元空間に吸収されて行方不明となった。昨日、ユーノが本局からミッドチルダに戻って皆と合流した時、彼もその事実を知って愕然としたそうだ。かくいう私もこの事を知って、無念の想いがとめどなく溢れて来ている。
「そうですか……。サバタは……逝ってしまったんですね……」
「エレンさん……」
「すみません、用事を思い出しました。私はここで失礼させていただきます……」
会釈をしてから去っていくエレンの姿に、私とユーノはかける言葉が思いつかなかった。後ろを向いているので表情は見えなかったが、彼女の肩が小刻みに震えているのが見えた。やはり昔からの旧友という事もあって、気難しい環境に身を置いていたエレンですら哀しみを全て抑えきれなかったようだ。兄様に救われた事がある私だからこそ、同じような境遇を経てきた彼女の辛さは痛いほど理解できる。それゆえ、兄様がこのタイミングで消滅する原因を作ってしまった私はとてつもない罪悪感を胸に抱いた。
「それでね……大切な人を目の前で失ってしまった、はやてとマキナだけど……正直、かなりマズい事になってる」
「私でも二人の気持ちはある程度察せるが……どういう状況になってるんだい?」
「サバタさんを失ったショックと自分を助ける代わりに犠牲になったシャロンの事で、はやては精神錯乱状態に陥っている。ヴォルケンリッターの皆が必死になだめてるけど、彼女達もサバタさんの死をまだ受け入れられていないみたい」
騎士達も主と同様に真実は知らなかったからな……私
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