綻びの聖剣
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笑顔で藤宮は自分の力を恐怖する。
遂に毒の魔法も覚えた……望まずとも僕の魔法は増える。生き続ける限り、僕の魔法は進化し続ける。
それを毒の魔法と理解するのに時間は掛からなかった。他者の体内に侵入し他者のサイオンと融合するって事は体内から魔法師の決定的な弱点を潰す事が出来るって訳だ。
「人間兵器…………達也と同類だね」
「零、僕も君の仲間入り出来たかな?」
「いつか、また大切な人と巡り会えます様に…………」
会えるよ、永遠の別れなんて幻想だ。
その幻想を打ち払う様に少女は笑顔で言った。
「会えるから泣かないで……私は泣かないよ」
無理矢理作った笑顔で涙を零す少女は最後まで笑っていた。
「泣いたら駄目だよ……泣いちゃ…………駄目だよ」
泣きじゃくる少年の涙に少女は涙した。
「私は……信じる。また、会える事を…………だから泣かないで」
「大丈夫、私は泣かないから」
笑顔の涙は泣きじゃくる少年の涙を止めた。
少年は何度も何度も少女の名前を叫び。決して届かない返事を待っていた。
「じゃあ、またね」
少女は消えた。
少年は無力だ。
抗っても抵抗しても無駄だった。
解ったのはこの世界は理不尽その物だった事と己の弱さ……それを捨て去る様に少年は立ち上がる。
力を求めて……ただ、本能のままに力を求めて。
感じる、この部屋からだ。
真っ赤な色……初めて見えた色は恐怖を表した様な。
傘繭は鍵の掛かった扉の向こう側を千里眼で見ると……その先は地獄だった。
―――――死んだ人の色…………なんで?
人間だったそれの塊は部屋中に落ちており重ねられていた。
傘繭は吐き気止めを抑え、その現実を否定した。
真実は時に、残酷だ。それは理解していたつもりだ。だが、これは現実なのか?
認めない……認めたくない。
なんで…………こんな……やだよ…………私、なんで見えてるの?
両目を塞ぎ、千里眼を切った。これで見えない。
だが、先程まで見えていた現実は傘繭の心を抉った。アレは耐えられない……無垢で何も知れない少女の心では耐えられない。
少女は逃げ出した。震える足を無理矢理動かし逃げ出した。
自分から望んだ非常識を現実を知り逃げ出す少女……逃げられると思ってるの?
―――助けて……誰か…………助けて。
少女は走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。走る。走る。走る。走る。走る。走る。走る。走る。走る。走る。走る。
逃げる為に。知らなかった現実を否定する為に。
侵入するのは簡単だった。なら、脱出するのも簡単な筈だ。
幼稚な考えで侵入し幼稚な考えで脱出を考
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