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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
災禍の鎧MkU
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数瞬後には、レンの手にはエネルギーの塊のような黒い槍が発現していた。
その矛先を迫りくる弾雨に向けたレンは、高らかに叫ぶ。
「
虚構
(
ホロウ
)
《
撃滅
(
レーゼ
)
》!!」
派手な音はない。
ただ、ヴヴッという小さな小さな虫の羽音のような振動音とともに、切っ先から虚無の砲弾が次々と発射された。
それらは白い雨の中に飛び込み、一つ一つが光をも呑み込むブラックホールのように、黒い絵の具のように、白いキャンバスに穴を開けて喰い荒らした。
その穴の一つ。
空白地帯となったそこから弾丸の如く飛び出したレンは、小柄な身体の許容限界まで引き絞った黒い槍を構える。
狙いは、マークUの巨体で唯一金属装甲に覆われていない単眼レンズ。
―――だが。
突撃する寸前、レンは身体の奥底で何かが震えたのを感じた。
本能、ではない。だが、ソレが恐れた事実を信じて、少年は急遽行き先を四肢で変更した。
そして、少年は数瞬後、その判断が正しかったと知る。
カッ!!と。
いつの間に上げられたのか。
上げられていた巨人の両腕。その先から生える環状動物のような砲口が再び、雄たけびを上げた。
二条のビームはレンから僅か一メートルの位置を通過し、夜空の向こう側へと吸い込まれていく。ダメージはなかったが、空間すら揺さぶるほどのエネルギーの余波を受け、体勢が大きく乱れた。
巨人は、それすら見逃さなかった。
狙いを定めていた血色の眼球がギョロリと蠢いてこちらを見たのを、レンははっきりと感じた。
フェイバルのものでも、ましてや初代のものでもない。しかし、少年はそこに確かな意思を知覚した。
どこまでも純粋で、それゆえに恐ろしい意思。
排除。
その視線にギシリ、と物理的に身体が硬直する。軽度の
零化現象
(
ゼロフィル
)
――――だがそれは、この局面では致命的過ぎた。
真っ白な翼が不気味に蠕動し、光芒の尾を引くほどの速度で振るわれる。
―――避けられな……ッッ!!
ッキン――――
痛みは、なかった。
ただ、その《音》だけが鳴り響いていた全てを上塗りした。
自由落下する少年を空中で抱き留め、ふわり、と地面に着地した少女は言う。
《災禍の鎧》マークUの翼を
ブ
(
・
)
ッ
(
・
)
た
(
・
)
斬
(
・
)
っ
(
・
)
た
(
・
)
少女は、言う。
「ごめん。待った?」
それに、その言葉に。
その中に含む感情を受け止めた少年は、簡潔に言った。
「ぜんぜん」
そして。
そうして。
《冥王》と《絶剣》
あの城の中でも屈指の二人組が、立ち上がる。
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