暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
災禍の鎧MkU
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はあの針だ――――をフェイバルも持っている。

そして、今まさに目の前で唸り声を上げるマークUは、その檮?を依代として形を成している。正直、針を元としているのにもかかわらず、あの見た目なのは疑問符が付くものだが。

その時。

様々な疑問を自己氷解させていく少年の眼前で、マークUは奇妙な行動をとった。

前傾姿勢をもっと傾けたのだ。

その行動の意味に、一瞬レンが身を固まらせる。

直後。

メリメリ、という音が巨人の背から発せられた。

卵の殻を割るように、装甲を突き破って出現したのは、幾つものトゲが寄せ集まって形成されたような歪な《翼》。

それが切り裂くように薙がれ、羽ばたくような仕草をしていることに、痺れた脳裏で少年は気付く。

「うそ……だろッ!?」

ゴウ!!と大気が切断される恐るべき音とともに翼が振り下ろされ、白い弾雨が轟然と降り注いだ。

一発一発がレンの等身大ほどの大きさ。

それほどの質量が叩きつけられる。そこに加速度が加われば、どれだけの威力が出るのかは想像に難くない。

弾かれたように少年は、かつて六王に入る要因となった脚力をフルに発揮する。

焦っていたため、なりふり構わずに跳んだ足裏は盛大に爆音を鳴らしたが、それすら構わず、少年は迫りくる弾雨の落下領域から離脱する。

背後で、音が弾けた。

衝撃波、というよりは、とんでもなく巨大な鉄板で思い切りブン殴られたような感触が、灼熱する痛覚を通じて脳裏にねじ込まれた。。

身体が浮いた、と知覚した頃には全てが手遅れだった。

いかなレンとはいえ、足場も何もない空中でジャンプすることなど不可能だ。小柄な体躯はさらわれていく木の葉よりも簡単に吹き飛び、ノーバウンドで五十メートルほども吹き飛ばされる。

ガッ!ゴッ!!という硬い音と一緒に、何かが削り取られていく感触がした。

赤より紅い飛沫を点々と残しながら、レンは震える手のひらをついて立ち上がった。

容赦も呵責もない白い地獄が、少年に立て直す時間すら与えずに攻めたてる。

「ご……ぅッ!!?」

飛び散る拳大の石片が肌を削り、後頭部に破裂した。

―――くっそ!立て直すヒマがない!!

もはやなりふりは構わない。力を振り絞って左右に狙いを揺さぶり、必死に弾幕を避け続けるが、そんな誤魔化しもジリ貧だ。どこかで反撃の手を打たねば、遠からずレンは岩なんだか肉なんだか分からない現代風オブジェに変わるだろう。

「ッ!出てこい、《穿孔(グングニル)》!!」

少年の切羽詰まった声に応えるように、伸ばした手のひらに漆黒の過剰光が集まり出す。

それは高濃度に寄せ集まり、すぐに形を成す。

柄が、石突が、穂先が、顕現していく。


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