暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
災禍の鎧MkU
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ゴロゴロ、と雷鳴が聞こえた気がした。
そんなはずはない。確かにGGOの気候条件に詳しくはないが、それでもこの決勝バトルフィールドでは雨の気配など、ログインしたその時から微塵も感じなかった。
だが、夜闇を覆う狂った空さえも覆い隠す、入道雲のような桁違いの
規模
(
スケール
)
で広がっていく黒雲は、間違いなく時折青白い閃光をその内部から発していた。
まるで、天を覆う厚い雲までもが、新たな闖入者に怖れを抱いているようだった。
否、それすらも間違いなのだろう。
響く雷鳴。
それは紛れもなく、世界を破壊する者への《凱旋歌》だった。
山の中腹から膨れ上がった、圧倒的な《白》は瞬く間に膨れ上がり、次いでビッグバンから原始宇宙が誕生したように膨張は収斂に変わり、形のなかった光の渦は思い出したかのように明確な型を見出していく。
脚が。
腕が。
体が。
その形を取り成し、形成されていく。
それ自体が無機物的な白光を放っているため見えにくいが、その人型のシルエットはどこか、明らかに生物的な生々しさを持っていた。
肩口からは獣の牙のようなスパイクが生え、重なる装甲は戦車というよりトカゲの鱗を連想させる。背面からは禍々しい突起が幾つも屹立し、両腕の先には手のひらとは別に、環形動物のごとき砲口が虚無のあぎとを開けた。
頭部と思しき器官の代わりに、半球状の《目蓋》が現れる。
白すぎて逆に生理的な嫌悪感を覚えるクリアな純白なそこに、ピシリと真一文字に走った亀裂はゆっくりとした速度でこじ開けられ、中から現れたのは血の色の虹彩を持つ巨大な眼球だった。
邪悪も。
隠悪も。
害悪も含まない声で。
大鎌のような鉤爪を備えた両腕を掲げ、生まれ堕ちた悪魔は途轍もない声量で咆哮する。
『ル…ォアああアあアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahahhhhHHHHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAAA――――――――ッッッ!!!!!!!』
黒雲から紫電が迸り、巨人の周囲に突き刺さった。
それは少なくない規模で地盤をめくり上げ、土砂の雨というものを形成し、それよりも一足早く、頬を張るような軽い衝撃波をまき散らす。
だが。
「…………ぇ……あれ?」
レンが呆然と仰ぎ見ているのは、それだけの理由ではなかった。
すなわち。
「
笑
(
・
)
っ
(
・
)
て
(
・
)
……
る
(
・
)
……
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