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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第168話 襄陽城攻め1
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労し物資も尽きる」

 正宗は目を細め襄陽城を凝視した。星は正宗の言葉に得心したように頷いた。

「主、それでは冀州よりわざわざ荊州まで参った甲斐がありませんな」

 星は襄陽城を日干しにする方針に残念そうな表情だった。だが、蔡瑁軍が城に籠もる以上何もやることが無いことは事実である。

「星、そう言うな。蔡徳珪に名門としての気概があるなら最後の最後で勝負に出るだろう。滅ぶ運命(さだめ)なら最後は生き恥を晒す真似はしまい」

 正宗は自らの希望を吐露しているようにも見えた。

「主、孫堅軍は奮戦しておりますが三週間の内に結果が出なければ私めに攻城の任をお任せくださいますか?」

 星は正宗に拱手し先陣の役目を願い出た。この行為に孫権は表情を強張らせていた。もし、孫堅達に変わり星が先陣の役目を交代した場合、孫堅軍の荊州における威勢は弱まる。その上、星が城門を破れば孫堅軍の威勢は地に落ちてしまうからだ。

「私めにも先陣のお役目を任せていただきたく存じます」
「私も先陣に参加したく思います」

 星だけでなく愛沙と?菜まで先陣の役目を任せて欲しいと願い出てきた。三名ともやる気十分で、正宗の許可があれば今からでも先陣に参加したい様子だった。

「皆の勇敢さ頼もしき限りだ。考えておこう。だが、まだ初日だ。勝敗は兵家の常という。まずは孫文台のお手並みを拝見しようではないか」

 正宗は星達の顔を順に見て窘めた。

「仰る通り戦は始まったばかり。わざわざ冀州より参ったのに一日で落ちては張り合いがないというもの。孫長沙郡太守のご息女気分を害されたであろう。許してくだされ」

 星は正宗の態度から何かを察したのか、視線を孫権に移すと何かに気づいたように孫権に対して謝罪した。

「趙鉅鹿郡丞、いいえ気にしてはいません」

 孫権は星が引き下がったことに安堵しつつ苦笑し星のことを見ていた。甘寧は孫堅軍の戦い振りが芳しくなかったことを口惜しいと感じているのか沈黙したまま顔を伏せた。

「蓮華様、前線に出ることをお許しください。私も前線に参ります。安全な場所で文台様達の戦いをただ見ているなどできません」

 甘寧は強い意志の籠もった瞳で孫権に側を離れることを願い出た。孫権は甘寧の言葉に困った表情を浮かべ視線を正宗に向けた。正宗に同道する栄誉を他の荊州の豪族達を差し置いて、この場所に居る孫権としては正宗の意見を聞きたいと思ったのだろう。

「孫仲謀、私の許しを得る必要はない。甘興覇はお前の付き添いであり、孫家の家臣。私の顔を窺う必要は無い。先陣に参加させたいならそうすればいい」

 正宗は笑みを浮かべ孫権に言った。孫権は正宗に礼を述べると甘寧が前線に出ることを許可した。甘寧は正宗と彼の重臣達、それに孫権に対し
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