第168話 襄陽城攻め1
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非正規戦を好む人物だ。それに周囲を大軍に囲まれている状況で門を開くなど蔡瑁はしないだろう。
「期待はしていなかったがな。力尽くで門を破るしかない」
孫堅は自軍に戻ると孫策に声をかけ、孫堅軍の兵士達に視線を向けた。兵士達は孫堅の威風に意気揚々だった。敵の眼前での彼女の堂々とした姿勢は配下の兵士達の志気昂揚に一役買ったようだ。それだけでも意味はあったと言えた。
「お前達! 孫堅軍の勇猛さを蔡徳珪に見せてやりな! 車騎将軍が私達の戦い振りをご覧になっている。此度の戦は朝廷直々の勅をいただいての討伐。功を上げれば恩賞を思いのままだ。気張って頑張りな!」
孫堅は南海覇王を天に思いっきり上げ、孫堅軍の兵士達を鼓舞した。すると兵士達は彼女の鼓舞に反応するように気合いの入った声を上げた。
「突撃だ――!」
孫堅は歩兵二千を率いて門に向かって突撃した。
「私達もいくわよ――!」
孫堅に遅れ孫策も歩兵二千を率いて孫堅の後を追った。その後ろを破城槌を持った工兵達と攻城用の梯子を持った兵士達もいそいそと動き出した。
孫堅と兵士達が門に向かうと城壁側から矢が雨あられのように降り注いだ。孫堅軍の兵士達は勇猛に突き進むが矢に辺り怪我をする者、重傷を負う者、死ぬ者と脱落者が出ていく。それでも孫堅軍の動きは鈍ることなく門に向かって行った。工兵達が門にたどり着くと破城槌を勢いよく叩きつける。彼らはびくともしない門に更に破城槌を叩きつけ、それを続けた。その頃、城壁に辿りつき梯子を城壁をかけ、城壁を越えようと梯子を登る兵士達がいた。彼らは孫策の指揮下の兵士だ。城壁の上に控える蔡瑁軍兵士達は待っていたとばかりに大きな釜を慎重に運び出し、城壁の上から中身を城壁をよじ登る兵士達に向けて浴びせた。それを浴びた兵士達は絶叫を上げ梯子から落ちていった。
「煮立った油か。蔡瑁の野郎。舐めた真似をしやがって殺してやる!」
孫堅は舌打ちすると自軍の兵士達が黄色い湯気を上げる液体を浴び梯子から落ちていく姿を見て険しい目で睨み付け愚痴った。孫堅は激しい怒りの表情を浮かべていた。蔡瑁への殺意にみなぎっているが傍からもわかる。
孫堅は城壁の下で兵士達を指揮している孫策に目をやった。孫策も苦々しそうな表情で城壁の上を見ていた。兵士達が油に気後れして動きが鈍るのが肌でも分かった。しかし、気後れする兵士達を余所に孫策が指揮を中断して梯子を登りだした。彼女は凄い勢いで昇りだした。城壁の兵士達は孫策の動きに動揺したのか矢を射る準備をするも、そんなことお構いなしに孫策は果敢に昇っていった。
「くっ!」
孫策は苦虫を噛む表情をすると梯子を登るのを止め城壁を足で蹴った。彼女は宙を舞い獣のように器用に地面に着地した。彼女が城壁の上を見る
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