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送り犬
2部分:第二章
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を見せないようにしているかのようであった。どうやら話してしまえばそこから自分の感情が露わになってしまうことを恐れているようだ。
「猫もね。街を歩けば」
「捨て猫ですか」
「最近減っていますよね」
「ああ、そういえば」
 言われてみると確かに。そのことにふと気付いた南口さんだった。
「いないですね。もう街には」
「いる猫は首輪をしているか地域猫ばかりですね」
「それでも保健所は動いているそうですけれどね」
「それは何時でもですので仕方ないことでもありますので」
 やはり若松さんは感情を見せない。だがこの話はすぐに終わらせてしまったのだった。
「とにかく。野良猫も野良犬も減りましたね」
「色々とやかましいですからね」
「まずそれがありますし」
「それがですか」
「尚且つ皆さん豊かになりました」
 このこともあるのだった。
「しかも飼い主を募集することも容易になりましたし去勢も広く行われるようになって」
「色々と要因があるんですね」
「要因は一つだけでは済まないものです」
 若松さんの言葉に感情が戻ってきていた。どうやらこの人にとって気分のよくない話は過ぎ去ったようである。よく聞いてみるとわりかしわかり易い人ではある。

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