月下に咲く薔薇 21.
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げんなりする自分の意識に、改めてランカ・リーの名を刻み込む。
ZEXISと歌の力が異界への扉を開けるまで、宿敵の力など欲する必要はない。
「この階だ!!」
反響する音を響かせて、直角に方向を変える。
会議室の周辺には、人の気配がなかった。
侵入者はまだ残っているのか。姿を見せておきながら、部屋に近づく者がいると巧みに気配を殺す。いるのかいないのかわからないところが、謎の敵やアイムを思わせた。
音が立つ事を覚悟の上、2人がかりで支柱をどけテープを外す。
クロウの背に密着するロックオンには、「俺が先に行く」と小声で呟く。
「ああ。それは任せた」
年上のガンダムマイスターが、珍しく素直に了承した。敵に眼帯姿を晒す恐ろしさをきちんと受け入れ自重している。
やはり、彼は冷静だ。
「動くな!!」
ドアを開けた直後、クロウはとびきりの大声で恫喝する。
最初、視界に飛び込んできたのは、1人の男の立ち姿だった。
会議室の後方ばかりを照らす斜度の低い陽光が、壁やデスクで乱反射を起こす。その眩しさの中で、色の濃い服を着た姿勢の良い男がこちらを向いていた。
クロウの声に反応したのではない。最初から入り口に顔を向け、突入する者を迎えるつもりだったのだ。
悪寒が走り、またも鳥肌が立つ。
アイムがいた。寒気を遮る白色の室内で、静かに人待ち顔を浮かべ。
− 22.に続く −
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