月下に咲く薔薇 21.
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た方が良さそうだ。
クロウは最後に、Dグループの残る4人にも同じ質問をしてみる。
桂達やケンジ同様、音や声を聞いた者は1人もいなかった。
「タケル。捜索が終わったら、ケンジ達の話はお前が聞いておいてくれるか?」
「はい」タケルがにこりと了解する。「どんな話を聞きたいのかがわかったので、後で俺も手伝います」
「疲れてるのに悪いな。頼む」
破片捜索に戻るタケル達の背を、クロウは片手を挙げ見送った。
「さて次は…」と独りごち、アムロとクワトロの顔を思い浮かべる。いよいよ屋内作業の始まりだ。
安堵して壁面を仰ぐ。
直後に、クロウは凍りついた。人影の動く窓がある。
あれは第4会議室ではないのか。
クランと中原の行動追跡で引っかかった疑惑の場所。デスクに置かれたバラの花を発見した所であり、昨日の打ち合わせ時刻に何かが覗き見るとティファが予知した場所でもある。
規制線の内側に一体誰が入ったというのだろう。
一瞬見えたその姿は、既に窓辺にはなかった。
陽光の反射具合で、窓は鏡同然になる。最悪、気づいた者は自分1人かもしれない。
クロウからも、室内の様子が特別見えやすい状況にはなかった。誰かがいるのか、いないのか。それ自体を確かめる必要が生じたという事だ。
「どうした? クロウ」
呼ばれて顔を回した途端、最も近くにいる隻眼の男と目が合った。しかも、不審を露わにする間近の表情から、起きてはいけない変化を既に嗅ぎつけている。
目を閉じていたというのに、この勘の良さ。最早、この男と共に突入するしかない。
「行くぞ、ロックオン! 第4会議室だ!!」
手招きはせず、足早に建物を目指す。
「このままでいいのか? 丸腰だぞ! 俺達は」
「もし罠なら、銃があっても意味はねぇ!」クロウの中で、答えは出ている。「まずい状況なら、俺かお前のどちらかがすぐ会議室の外に出る。いいな!」
後ろからついて来る親友の足音と声を聞き取りつつ、一気に加速し、全速で階段を駆け上がる。
左目のみのロックオンに、室内で格闘をさせたくはなかった。気配りの点でも勝敗の点でも、当然「どちらか」は隻眼の人間の方と判断する筈だ。
有事の際、危険地帯に飛び込んだ者が共に正常な思考をしていれば。
現在のバトルキャンプには、転写された月が立ち入り制限のない状態で。バラを取り除かれた状態の第4会議室が規制線を張られた状態で放置されている。
物見遊山なパイロット達も、見物対象のない会議室には特別興味をそそられはしないだろう。それでもあの部屋に立ち入り、クロウに一瞬その姿を見せた者がいる。
いや、見せた者がいた気がする。
立ち入り禁止の禁を破る酔狂の顔と名が、思考の手前に現れた。
アイムであって欲しいのか? わざわざ宿敵の顔を思い浮かべ
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