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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 21.
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、小学生社長と他の社員達が別行動になった結果、木下は今この人垣に混じっている。今日、シャトルはパトロールには出せない。クルーの1人、厚井常務が、マクロス・クォーターで損傷機の修理を担当しているからだ。
「タケルは今滑走路で植物片の捜索中だし、ティファちゃんはお休みのまっ最中」聞き取り対象の現状を整理しつつ、クロウは誰とならすぐに話ができるのかを考えてみた。「残るは、アムロとクワトロ大尉か」
「今も会議中だったらどうする?」
 クロウ達5人だけが先に室外へと出された事を、ロックオンが思い出した。
「そうだな。あの様子じゃ…」未だ、クロウ達パイロットの耳には入れられない話でも交わしているかもしれない。
 ニュータイプは、ZEXISとZEUTHを合わせると5人。たった1人の超能力者も活動中で、現状、手の空いている人間は誰もいない事になる。
「ん−。だったら、先にタケルの話を聞いておかないか?」随分と乗り気なロックオンが、自発的にまさかの艦外を指す。「道すがら、滑走路に寄るのは有りだろう。こっちの調査だって重要なんだ。1つ2つ質問するくらい、タケルの邪魔にはならないさ」
「…いいのか? それで」 
 皆の視線がある手前、左目のダメージについて具体的に触れる事ができないのはもどかしい。クロウは、要約した言葉でガンダムマイスターの決意の程を確かめる。
「他にもやる事が目白押しだろ」
 ロックオンが強調した。決して屋外に長居はしない事を。
「OK」とこの場は折れ、改めてアテナに向き直る。「流石の目のつけどころだな。そのアイディア、いただきだ!」
「いや、大した事はない。…力になれたのなら嬉しい」
「絶対に桂の側を離れるなよ。まだ謎の敵の監視下なんだ、俺達は」
 左の拳から親指を突き出し、クロウはやや離れた位置から床の月を指す。
「そっちも気をつけろよ」
 桂の声に送り出され、クロウとロックオンは背に刺さる視線の数々を意識しつつダイグレンの格納庫を後にした。
 ちらりとKMFの収容場所に目をやる。残念な事に、人の気配はない。
 昨夜の月下は1機たりとも損傷しておらず、給弾作業は夜明け前に全機分を終了させてしているのだろう。藤堂どころか、千葉達の姿もなかった。
「いないな」
 クロウが呟くと、「ああ」とロックオンもがっかりした様子で相槌を打つ。
 再び屋外に出る際、隻眼の男が左手で額に傘をこしらえ目を細めた。
 日は更に高くなって、海面と滑走路の照り返しが基地全体をより眩しいものにしている。元々、全体が白色側に傾いているバトルキャンプだ。ロックオンのみならず、破片捜索を担っている隊員達やクロウの目にも多方向から容赦なく冬の陽光が飛び込んでくる。
「こいつぁ、そろそろ屋外作業に要員交代の指示が出るかもしれねぇ。ロックオン。お前、先に
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