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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 21.
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、その下に複数の協力者がおり、バラの株を試験体として操っていると考える事だってできる」
「アイムの話ですね」
 目を光らせたジョニーに、「あの部分に嘘はない、と俺は思っている」とジュリィが肯定した。「その方が、俺達を乗せやすいからな」
「『残された者共』か…。しかし、その仮説だと『彼』の影響力は、女の声が言っている程絶対的なものではなくなってしまう。そこはどう説明する?」
 1つの疑問を突きつける隼人に、ジュリィは肩を竦めつつ首を横に振った。
「残念ながら思案中だ」
 それまで2人の男のやりとりを聞いていた甲児が、短く唸る。
「声の主と『彼』以外に誰かいるのか、か。どっちの話も納得できるし、本当に俺達は敵について何も知らないんだな」
「嘘吐き野郎とわかっているのによ。こういう時に奴の言葉を頼りにしなけりゃならないってのが、もどかしいぜ」
 竜馬が右手で拳を作り、左の掌へと打ち付けた。誰からも苛立ち紛れとわかる動作だ。
 場が気まずい。
「それじゃあここで、質問コーナーだ」無駄に明るく振る舞い、クロウは集まっている仲間達全員を順に見回した。「ゆうべの戦闘中に起きたホワイト・アウトの時、小さな音を聞いたとか何かをちらっと見たって覚えがあったら、手を挙げてくれ」
 葵達チームDにゲッターチーム、ヨーコ達と居並ぶ面々は多いが、皆互いの反応に興味を示すばかりで手は1本も上がらない。
 アテナも、その中に混じっている。
「何も? 全然?」敢えてじっと彼女を見つめ、クロウは心当たりの有無を改めて確かめさせる。彼女が何かを見聞きしているのか。それは、後で大山に報告しなければならない重要事項だ。「例えば、きれいな音とか和音とか」
「いや、私は何も聞いていない」
 記憶に誤りがない事を彼女は強調した。正規軍の人間らしく、自信の程は固めの口調に表れる。
「それって、クロウとレントンが聞いたって音ですよね」木下が、両耳に掌を当てる。「他にも聞いた人がいないかって捜してるんですか?」
「まぁ、要するにそういう事なんだ」代わりに答えたのはロックオンだった。「聞いた人間が少ないなら少ないで、人数をはっきりさせた方がいいかもしれないだろ?」
「ならば、私ではなくニュータイプと超能力者に訊く方がいい」思わぬ提案が、アテナから飛び出した。「ZEUTHには何人ものニュータイプが、ZEXISには超能力者がいる。彼等の超感覚で何か捉えていないかを確かめる方が有益な筈だ」
「ZEXISの超能力者。…タケルの事ね」
 くららが具体的に名を挙げると、甲児が今朝の記憶を探り直す。
「カミーユ達は、今パトロール中だ。カミーユとファとワッ太にGソルジャー隊。で、指揮を執るのがオズマ少佐。…今朝の5機編成に組み込まれているんだな。ニュータイプのうちの2人は」
 そして
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