嵐の転入生編
ターン37 鉄砲水の午後
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ペンキまみれの癖にー」
どうにか嵐が去った、と思ったらまたドアの向こうに人の気配。ただ今回はいきなり開くのではなく、ちゃんとその前にノックがあった。
「やっほー、清明。今いる?ってさ」
「こんにちは。あら、貴方とレイちゃんだけ?十代はいないのかしら?」
「いらっしゃい、夢想に明日香。たいした家じゃないけど、まあ上がってよ」
どうやら、今日はよっぽど来客が多いようだ。2人を招き入れて扉を閉めるか閉めないかのうちに、またもや見知った顔がひょっこり姿を見せたのだ。
「葵ちゃん、こっちに来るなんて珍しいね」
「ええ、先輩。この葵・クラディー、本日はこれ以上先輩にご迷惑をかけるという恥を忍んでやってきました」
「………?」
「お願いします、先輩。話を聞くだけでいいですから、ご相談に乗っていただけないでしょうか」
いつになく申し訳なさそうな調子の葵ちゃんに、これはただ事ではない臭いを嗅ぎ付ける。せっかく僕を頼ってきてくれたんだ、葵ちゃんのことだから勉強の話でもないだろうしじっくり相談に乗ってあげよう。
「えっと、今はちょっとお客さん多いけど……」
「そうですか?まあ、別に他人様にどうしても知られたくないよう話ではないですから。というよりも、完全に私事に先輩のお時間を割いてもらうだけですのでなんでも構いません」
「そう?よくわかんないけど、僕で良ければいくらでも力になるよ。じゃあ上がって」
葵ちゃんを中に入れ、今から何の話が始まるのかはわからないけど本人の様子を見て気合を入れ直す。するとそこに、今度はこのレッド寮でも聞き覚えのある声が近づいてきた。
「悪い悪い、急に飛び出しちまってよ。たっだいまー!」
「もう、いっつもアニキはそうなんだから」
「丸藤先輩の言う通りだドン。いきなり独り言喋りながらどこか行っちゃうから、一体何事かと思ったザウルス」
「お帰り、3人とも」
本当に、今日は人の多い日だ。人が多くて賑やかなのは嫌いじゃないけどね。するとそこに異議を唱えるような風ににゃーと鳴きながら、山の方から1匹の猫が降りてきた。
「ファラオも入れて3人と1匹、って?いや、大徳寺先生も入れると4人と1匹か。まあとにかく、お帰り」
ここまでこのレッド寮に人が集まったんだ、きっと今日はこの後もまだ何か一波乱起きる……そんな気がした。こうやって平和だけど退屈な日にだって、突然何かが起こることがある。だからこそ、この世界はこんなにも面白いんだ。だからこれまでがそうだったように、これからもこの第2の人生を思いっきり楽しもう。例えこの先、何が待ち受けているとしても。
とりあえず、まずは葵ちゃんの悩み解決と洒落込もうかね。お茶っ葉とクッキーの残量をざっと思い出して、この人数でのティータイムにはど
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