暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
嵐の転入生編
ターン37 鉄砲水の午後
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ー、最近来てなかったけど自分が霊になって最初に目が覚めたのがここなんだよね」
『ふーん。ファラオ、何を見つけたんですかニャ?』
「さて、あの部屋には特に何もしまってなかったはずなんだけどね、っと」

 そう言いながらぱちんと指を鳴らすと、ポルターガイスト現象が発生してひとりでに古ぼけた扉が開く。霊体ならではの特技をフルに生かした技である。

「御開帳〜……あれ?」

 開いた扉の中にファラオが飛び込んでいくのと、幽霊2人の目が部屋の中心に落ちた1枚のカードを見つけたのはほぼ同時だった。

「おっかしいなあ、こんなところにカードがあったんならすぐ気づけそうなものだけど」
『一体何のカードなんですかニャ』

 そのカードは裏返しになっているためここからではイラストが見えないが、積もった埃の量からいっても数年間誰からも触れられていない、恐らくは数年前の事故の際この寮に住んでいた生徒辺りが落としていったのだろう。

「落とされっぱなしじゃカードが泣くね。どれどれ?」

 そういって拾い上げ、ひっくり返して表向きにする。

『もしかしたら、このカードがファラオをこの場所に呼んだのかもしれないですニャ』

 大徳寺先生も近寄ってきて、そのカードを覗き込む。

「ドラゴン族・封印の壺……?」

 かのペガサス・J・クロフォード氏が一時期愛用して、かの青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)をもその壺の中に完全に封印してその後の勝利への布石となった恐るべきカード、だったのも今は昔。その後のデュエルモンスターズのパワーインフレに完全に取り残され、正直なところ今となっては所有するプレイヤーは多くてもなかなかデッキに入ることはなくなってしまったカードである。

『これはまた、珍しいものが落ちてますのニャ』
「うん……」

 確かにそれ自体、何の変哲もないただの永続トラップに過ぎない。だけどなぜか、稲石さんにはそれがひどく気にかかったようだ。すっかり部屋の中に興味を無くしたファラオが大徳寺先生の魂を飲み込んでふらりと出て行っても、まだしばらくの間身動き一つせずに壺のカードをじっと眺めていた。一体なぜ、このカードがこんなにも気になるのだろう。自問するが、どこからも答えは帰ってこなかった。





 その5:遊野清明の場合(その2)

「……それで、ボクはもうピーンときたの!間違いない、十代様こそが運命の人なんだって!」
「ふんふん」

 レッド寮にて。あれからレイちゃんを中に入れて紅茶とクッキーを出したところ、大喜びでパクパクと食べてくれた。やっぱり自分の作ったもので喜んでくれるのは嬉しいもんだ。その後で少し水を向けてみたところ、本人も誰かに話したかったらしくあっさりと2年前に何があったのかを
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