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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
嵐の転入生編
ターン37 鉄砲水の午後
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からデュエリストとして興味あるし」
「そう。それじゃあ出発しようか、ってさ」
「アポは取らなくていいの?」
「今日みたいな日は清明も退屈してるか、何か面白いことしてるかのどっちかだからね。退屈してるならいきなり行って驚かせる方がいいし、面白いことしてるなら清明だって連絡どころじゃないだろうからそのまま私達も混ざらないと、だってさ」

 その冷静に考えればだいぶ無茶苦茶な理論の台詞の裏から『清明のところへ行けば何かがある』という全面的な彼への信頼を読み取り、思わず苦笑する明日香。そんなこととはつゆ知らず、さっきまでよりも機嫌良さそうに小さな声で聞いたことのないような歌をハミングしながら彼女は歩き出すのだった。





 その3:葵・クラディーの場合

 その日、彼女は深刻に悩んでいた。端正な顔にしわを寄せ、迷惑さと真剣さが入り混じったような表情のままかれこれ5時間はその原因……机に広げられた、1枚の手紙とにらめっこしていたのだ。
 やがて何かを決心したかのようにペンを取り出し、箪笥からハガキを1枚取り出しておもむろに何かをさらさらと書きだす。しかしその手は途中で止まり、結局途中まで書いたハガキはビリビリに破かれてゴミ箱に放りこまれてしまった。
 再び椅子に腰かけて背もたれにたっぷりともたれかかり、ペンを耳にはさんで苦悩する姿は絵になると言えなくもなかったが、当の本人は大真面目である。

「仕方がないですかね。1人でずっと唸っていても」

 独り言というよりむしろ自分自身に言い聞かせるように喋りながら、その手紙を制服のポケットになるべく折り目が真っ直ぐになるよう畳んで入れる。

「そうですよね、きっと。日頃から私も先輩には迷惑かけられてますし、たまには相談の1つぐらい乗ってもらったって……罰は………当たりません、よね………?」

 光の結社に入って以降ついこの間までその清明に迷惑をかけっぱなしだったことを思い出し、せっかくの独り言もどんどん尻すぼみになっていく。決して小心者というわけではないのだが、根はかなり真面目な彼女にとって清明の店でのバイトをすっぽかして光の結社にかかりっきりになっていたことや、単純にあの一連の事件で清明の手助けが一切できなかったことはかなりの負い目になっているのだ。
 だからつい先日も罪滅ぼしの一環として、彼の受けた臨時試験の問題とその回答からある程度弱いパターンを後輩なりに割り出して軽くレクチャーするぐらいのことはしようと思ったのだが、結局それも真剣に彼の成績表を見た結果諦めてしまった。なにせ苦手分野どころか、得意分野らしき箇所がロクにあったものじゃないのだ。国数理社英プラスデュエル学のいわゆる6角形グラフも形自体はバランスが取れているのだが、あからさまにその面積が小さすぎる。オールラウ
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