嵐の転入生編
ターン37 鉄砲水の午後
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その1:遊野清明の場合
「お、今日のメシはエビフライか!」
「「いただきまーす!」」
なんてことのない昼下がり、オシリスレッド寮。長かった光の結社との戦いもめでたく勝利で終わり、ようやく平和が戻ってきた。ああ、戻ってきましたとも。
「そういえば清明先輩、定期テストの方はどうなったド……」
「わーわーわー!剣山君、しっ!な、なんでもないよ清明君、あはは……」
……何度でも言おう。戻ってきましたとも、ええ。我ながらよく留年しなかったものだと思うけど、終わってから軽く廃寮まで行って稲石さんに見てもらった結果赤点を下回っていたことは記憶に新しい。あんな身も心もくたくたになるような斎王とのデュエルの後でさらに詰め込みで8時間テスト勉強やった結果が緊急再試とか、もう笑うしかないなーとあの時は思ったものだ。本当に、あれで進級させてくれた先生方には感謝感謝だよ。
「先生達も、先輩のことは意地でも留年させないようにあれこれ知恵を絞っているように見えますけどね。私が座学でこんな成績ばっかりだったら、とっくの昔に親に連絡が行ってますよ」
とは、僕の2年次の成績表を見せたら店番中にまで広げて見ていた葵ちゃんの弁である。実際、僕もそんな節はあると思う。要するに、入学1年で校内に店を構えるような生徒に居座って欲しくないということだろう。その気持ちはよーくわかる。葵ちゃんの場合は一応そのあとに、
「まあでも、今回お情けが通ったのは学校側にも引け目があるからじゃないですか?光の結社を追いだした功績は無視できないでしょうし」
などとフォローになってないフォローをしてくれたのだが。
そんなことを思い出して遠い目になっていると、いきなり十代が立ち上がった。ハネクリボーに呼ばれているらしく、笑顔を浮かべて何か話しこみながら外に出て行った。それを見て、遊びに来ていた翔と剣山も一緒になってその後についていく。
「あ、待つドン十代のアニキー」
「どこ行っちゃうんスかー?」
万丈目も光の結社のごたごたとジェネックス優勝のどさくさに紛れてブルー寮に戻ろうとあちこち頭を下げて回ってるらしいし、翔にも今年はブルー寮昇格試験を受けさせるとか何とかいう話が持ち上がったり消えたりしている。好むか好まざるかに関わらず、そんな風に世界は今日も動き続けてるのだろう。ユーノにも意見を聞きたいけれど、あいにく彼にはあの日以来まだ1度も会えていない。
「ったく、このボロ家はこんなに広かったかね」
何となく取り残されたような気分になって、仕方なく1人になったレッド寮で洗い物を始める。だけどこの取り残された気分というのも、半分はつい最近判明したあることが原因なのだろう。
つい先日行われた、進級に合わせての健康診断。皆が皆程度の差こそあれ
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