第二十二話
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―だが、葵は進化によって、その多様性、汎用性を捨てた。
中途半端だったのだ。どんなエネルギーでも操れる代わりに、精度が低い。万能ではあるけれど、これだけでは、例え進化して身体能力などが向上しても、この暴走体に勝てるかどうかが分からなかった。
だから、彼は能力を特化させた。
彼が選んだのは”対魔力”だ。暴走体に対する怒りと、殺された恐怖。確実にこの暴走体を完封出来る能力を欲した結果、この【魔力完全掌握】が生まれた。
もとより、進化とはそういうものである。例えば、深海生物が、深海の水圧に耐える体を手にしながらも、役に立たない目は退化したように、何かに特化するということは、何かを捨て去るということなのだ。どんな生物にもキャパシティが存在する。全ての性能をMAXにすることは不可能だ。なら、何かを諦めるしかないのである。
★★★
『■■■■■ーーーーーーーーー!!!』
暴走体は混乱していた。先ほどは効果があったハズの自身の攻撃が、何故効かないのか?それが理解出来なかったからである。
だが、効果がないのは事実。それならば、攻撃手段を変更する程度の知能は持っていたのである。
数万本ある触手が、周囲に散らばる瓦礫を持ち上げる。暴走体が暴れた結果破壊されたビルの残骸であり、非常に大きな破片ばかりである。これで攻撃されれば、暴走体の力も相まって、葵たちなど潰れたトマトのようになることだろう。
―――あくまで、当たれば、の話であるが。
『GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
パァァァァァァァァン!!!
空気の壁を破壊する音と共に、瓦礫は投擲された。亜音速で迫り来る巨大な物体をどうにかすることは、フェイトたちには到底不可能だ。
・・・だが、
「下らねえ。」
ゴオオオオオオオオオオン!!!
まるで爆弾が爆発したかのような、盛大な爆発音が響いた。・・・否、それは、衝突音である。
透き通るような蒼の壁が、葵たちを取り囲んでいる。数百個の瓦礫を全て受け止めて、罅ひとつ生じていないそれは、葵が作り出した魔力の障壁であった。
「・・・・・・・・・デバイスなしで、魔法?数日前まで魔法も知らなかった初心者が・・・?」
驚きの連続で感覚がマヒしていたユーノでさえ、その光景には目を見張らざるを得なかった。非常に高い魔道士適正を持つなのはでさえ、デバイスなしでの魔法などまだまだ遠い話だ。それも、これ程の強度を持つ魔法を即座に発動出来る人間など、管理局にさえいるかどうか。
(異状だ。異状すぎる。一体、何が起きているんだ!?)
ユーノの混乱は深まっていく一方だっ
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