二十五話:闇の書の闇
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に攻撃を加えていく。
しかし闇の書の闇は傷つけられるごとに原型を失い余計に手が付けられない状態になる。
ベルカの騎士は人と戦うことを前提に戦術を組み立てる。
勿論シグナム達ほどになれば巨大な生物と戦うことも難しくはないのだが相手はもはや生物という定義に当てはまるかすら疑わしい。
「仕方ない……。なのは、フェイト、はやては最大攻撃の準備をしてくれ。狙いが付けづらいかもしれないがやるしかない」
「うん!」
「分かった」
「了解や」
もとより、コアを露出させるのが目的だ。
残りの全員で三人が攻撃を放つまで相手の攻撃を耐えきるのは不可能ではない。
無いものをねだっても仕方がない。そう思いS2Uを握りしめる。その時だった。
「全員、闇の書の闇から離れろ」
『Stinger missile.』
男の声が聞こえてきた。それと同時に明らかにまずそうな音が響いてくる。
全員が反射的にその声に従い後退する。
一瞬の後、彼らが居た場所をミサイルが通り過ぎていく。
そして、触手の大半を消し飛ばす大爆発が起き、闇の書の闇に近づく道が確保される。
「まだ、クビじゃないから管理局員らしく働こうかしら」
女の声が聞こえてくる。どこか自虐的な笑い声を残して彼女は闇の書の闇の前に立つ。
その手には氷結の杖、デュランダルがしっかりと握られていた。
多くの者が驚きの声を上げる中、女はやり損ねた詠唱を行い始めた。
「悠久なる凍土、凍てつく棺のうちにて永遠の眠りを与えよ……凍てつけ」
『Eternal Coffin』
海面が凍り付いていき、水平線先まで全て氷に覆われていく。
水面のすぐそばで浮かぶ闇の書の闇もその例に漏れず体を氷に覆われていく。
その様はさながら醜悪な氷のオブジェといったところだろうか。
だが、しかし。氷のオブジェのままで終わってくれるのなら醜悪とはつけない。
恐らくは最もコアに近いと思われる頭部付近はすぐに再生し氷塊を砕き去る。
「もう、砕いたの……呆れた。まあ、でも大分動きは止められた。後は任せるわよ」
どこか、寂しげであり、嬉し気な口調でクロノに語り掛ける女。
男の方は口を噤んだまま、どこか定まっていない瞳で闇の書の闇を見つめるばかりである。
それでも、クロノとはやては感謝と驚きを込めた気持ちで彼らの名前を呼ぶ。
「アリア……」
「おとん……」
拘束を破った二人の犯罪者が後を託すように子供たちの後姿を見つめているのだった。
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