第1話 出会い
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ざ、初めて見たよ」
ギルダーツは本当に驚いていた。
最上級魔法である魔法を受けてあの程度。吹き飛ばされても ちゃんと受身を取り、且つ、萎える事などなく、こちらを睨み返している。
全く衰えない闘争心。それも年端も行かない子供がだ。
「くくくく……」
笑いが止まらなかった。伸びしろの塊だと思えたからだ。……末恐ろしいとも同時に思えた。
笑っている間に、攻撃されたら、片腕しか使えない少年は絶体絶命だった。だが、相手は笑うだけで攻撃をしてこない。……恐らくだけど、腕が回復するまで待ってくれているんだろう、と言う事は判った。
つまり、完全に舐められている、と言う事が判った。
「アンタ……これまでの大人とはまったくレベルが違うみたいだ」
少年は、軽く腕を振りながらそう言った。待ってくれたお陰で、複雑だが、腕の感覚は戻ってきたのだ。
例え大人が相手だとしても、自分よりも大きく、強い相手であろうとも、情けをかけられるのは好まない。
だからこそ、少年は解放させた。右手と左手、その両の手を合わせて。
「……《オーバー・ドライブ》」
少年が言った途端にだ。空間が歪んで見えた。否、強大な魔力が可視化され その影響で空間が歪んで見えたのだ。強く上昇していく魔力は、全てを巻き込む。魔力に重さが宿ったかの様に、届く範囲の重力が変わったのか? と思える程だ。
ギルダーツも思わず身構えてしまった。
「へぇ………ってマジかよ………」
これまで、驚いていた、とは言っても まだまだ十分すぎる程余裕を残していたギルダーツ。
当然、大人が子供の相手をするのだから、ある程度は抑えていた、涼しい表情をしていたのだ。
そんなギルダーツの額に汗を吹き出していた。その種類は冷たい汗と熱い汗の2種類。
「(まだ全力じゃねえって思ったが………。これほどとは、思わなかった。……コイツ、本当にガキか?)」
先ほどの攻防。
受け止めた手も、それなりに痛かったし、突き抜けた衝撃もかなり残っている。
そして、今少年の周囲に迸っている、内包している力は、明らかに先ほどの非じゃない。先ほどの心構えで受け止めたら、彼方にまで吹き飛ばされてしまうだろう事は判った。
「アンタが只者じゃないってことは…初めからわかっていた。だから……、もう次は無いし、後の事は考えない。……ほんとの本気を出す。…オレはここを離れる訳にはいかない。……ここを、離れたくないんだ!」
怒号の様な声が、周囲に響き 共に魔力も解き放たれる。
今、第2ラウンドが始まろうとしていた。
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