第十二話 『生きるためには』
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病院内は、朝の微かな日の光で不気味な様子をかもし出していた。廊下に放置された医療用機具が、その雰囲気をさらに悪くしている。
「小鳥のさえずりでもあれば、多少ましだったかもな……」
等と意味の分からない愚痴をこぼしながら、第2病棟と書かれた板を横目に、調理場の方へと向かって歩いていく。
「誰も、いないわね……」
「そうだな……この分だと、生存者がいるとは思えないけどな…」
しばらく無言のまま、廊下をひたすら進んでいった。どれくらい時間がたったのかは定かではないが、微かな明るさの中に、調理場の文字が見えてきた。
「あそこだ。中にはいるぞ、油断するな」
「分かった」
ドアノブを握り、回そうとしたところで気が付いた。
「鍵がかかってる……」
「……」
顔を見合わせ二人して苦笑いをすると、特に合わせたつもりもないが、息ピッタリでドアに蹴りを叩き込む。格闘野郎と空手少女の蹴りだもの。もちろん一発で開きましたよ。否、壊しましたよ。
再び顔を見合わせ、再び苦笑いをすると、真顔に戻って室内を確認する。鍋などの調理機具が散乱しているが、人影はうかがえなかった。扉を完全に開け、中にはいっていく。
「誰も…いないみたいね」
「そうだな……だけど油断するなよ」
そう言うと、二人で室内を物色……もとい探索を始める。探索をはじめてから数分で大量の水のペットボトルを見つけ、いったいなぜ医療機関にあったのかは分からないが、箱に入った大量のカロリーメイトを見つけた。
「なんでカロリーメイト……」
「まあ、気にしないようにしましょ」
調理場で見つけたカートにそれらをのせると、管理室に向かって歩き出した。
ーーーー同時刻 陵太サイド
「こっちだ直哉、もうすぐだ」
ここは病院の地下、その電源管理室の前に、二人でたっている。
「あー……いかにも『奴等』がいそうだよ……」
等とわめいてはいるが、さっき渡した鉄の棒を右手に、殺る気満々だ。
「よし、入るぞ」
ピッキングで開けたドアを、ゆっくりと空けると、零斗からもらったブルドックナイフを右手に、中へ体を滑り込ませる。ちなみにこのナイフは、零斗が瀬田広一から没収していたナイフだ。返すのを忘れていてそのまま瀬田もどっか行ったから、手元に残ったらしいが、正直なところ、殺人にたいしてなにも感じていない彼を、信用することはできない。だからこのナイフは、返さなくて正解だったと思っている。
「あったぞ、非常用発電機だ」
しばらく探していると、部屋の奥まったところに、発電機が置かれているのを見つけた。
「俺が起動させるから、直哉は向こうを見張っててくれ」
そう言うと、ナイフをしまい、発電機に近寄
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