第0話 竜
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あったとすれば、アレは 何をしでかすか判ったものではない。そして、どこへ向かったのかも、判らない』
ゼルディウスは、アクノロギアの方を向いた。もしも、自分が消え去る事を知っているとすれば、抑止として言った言葉が、《必ず止める》と言った言葉が 無意味になるのだ。……そして、アクノロギアが、これからどこに行くのか、それが わからないのは仕様がないだろう。
『……アクノロギアを止める事は、等々出来なかったな。あの竜が これから何をするのか、しでかすのか、変わらないだろう。……何年経とうとも変わらない』
ゼルディウスはそう言った所で、その竜の体が半分ほどまで消えていた。そして、翼も消滅し、残すは頭部のみ。
――……死と相対した時、その脳裏に何を浮かべるのか。
ゼルディウスの脳裏に浮かんだのが。
『生まれ変わり…か。……願おう。もし、叶うのであれば…な』
竜としての生が終わった。
だが、世界はまだ 続いていくだろう。再び物語の始まる鐘の音が響き渡るだろう。
だから、もし 物語に続きが、新しい物語が始まるのだとしたら。願うのはたった1つだけだった。
――……願わくば、また あのギルドに。《フェアリーテイル》に…。
『ははは……』
ゼルディウスは、気づけば考えていた。最後に居た場所の事を。……人間達の事を。あのギルドの事を思い出していた。己の死の切欠となった場所と言えばそうだ。だが、それでも構わない。と思わせた程の場所。……居場所、と言える場所。
『人間……か。オレの中での人間と言うモノは何か。……もう そんなのは 決まっている』
そして、頭部も消滅しかかったその瞬間。
『愛おしい存在……だ。………なぁ? 炎王竜。……お前の、気持ちが、よく判った……よ』
その言葉を最後に、ゼルディウスは、人を愛した竜は……消え去っていった。
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